アンドンクラゲ
(透明な体に強い毒を秘めたクラゲ)

アンドンクラゲは小さなクラゲですが、強い毒があり、刺されるとピリピリ痛みます。カツオノエボシと共に「電気クラゲ」と呼ばれて嫌われているクラゲです。透明な悪魔の触手にご注意を!

アンドンクラゲ。別名「電気クラゲ」とも呼ばれる強い毒をもったクラゲです。
アンドンクラゲ。別名「電気クラゲ」とも呼ばれる強い毒をもったクラゲです。
(画像提供:日本大百科全書)

日本の沿岸には30種を超えるクラゲがいますが、なかでもアンドンクラゲは、ミズクラゲやアカクラゲと並んで、浅海の岩礁地帯や海水浴場などでよく目撃されるクラゲです。

アンドンクラゲは、ハブクラゲのように人を死に至らしめるような猛毒は持っていませんが、刺胞には強い毒があり、刺されるとピリピリと激しく痛みます。
そのため、別名を「電気クラゲ」とも呼ばれ、海水浴客やダイバーから恐れられています。刺されると傷跡が長期にわたって残ることもあります。

アンドンクラゲは傘の大きさが3cm程度の小型のクラゲですが、遊泳力が強く、波にも負けずぐんぐん近づいてきます。身体が透明で、水中メガネをかけていても目視確認が難しいことがあるので、海遊びでは十分な注意が必要です。

アンドンクラゲ

箱型の小さな透明なクラゲ

アンドンクラゲとは、名前の「アンドン=行灯」が示すように、体長3~3.5cmほどの立法形の傘をもった箱虫綱(ハコクラゲ)に属するクラゲです。
傘は透き通った透明で、その下に長さ20cmほどの鞭状をした触手を4本伸ばしています。触手には強い毒の刺胞があり、通常はその刺胞で小魚を捕食しています。

アンドンクラゲはもともと暖海性のクラゲですが、黒潮に乗って日本近海に北上し、遠くは北海道付近にまで達します。

アンドンクラゲの日本近海での発生期は6-9月頃だといわれてます。
ポプリ期と呼ばれる幼体の時期を経て、8月のお盆のころには成体に成長したアンドンクラゲが大群で沿岸に押し寄せます。夏から初秋にかけて、海遊びの際にはアンドンクラゲに刺されないように細心の注意が必要です。

アンドンクラゲの遊泳力は強く、波の影響をものともせずにぐんぐん泳いできます。そのスピードたるや相当な速さです。

浅海を泳ぐアンドンクラゲ

浅海を泳ぐアンドンクラゲ/日本沿岸の毒クラゲ
(画像提供:庄内海中図鑑)

水深1mの浅い磯の岩場を悠然と泳ぐアンドンクラゲ。寄せては返す荒波をものともせずに、海中をぐんぐん進んで行きます。
そのスピードはクラゲにしてはかなり早くびっくりします。


砂浜に打ち上げられたアンドンクラゲ

砂浜に打ち上げられたアンドンクラゲ/日本沿岸の毒クラゲ
(画像提供:お気楽モナカの湘南ライフ)

アンドンクラゲは日本全国、たいがいどこにでもいます。
時として浜辺に打ち上げられたアンドンクラゲを見かけることがありますが、死んでいても危険です。触ってはいけません。


アンドンクラゲの毒

アンドンクラゲは、殺人クラゲとして知られるオーストラリアウンバチクラゲ(別名:ゴウシュウアンドンクラゲ)や、沖縄に生息する猛毒のハブクラゲなどと近縁種になります。

ハコクラゲの仲間は、刺胞動物の中でも毒性が際立って強い種類が多く、アンドンクラゲも例外ではありません。オーストラリアウンバチクラゲやハブクラゲのように人を死に至らしめるほどの猛毒はありませんが、それでも刺されると激痛が走り、触手に触れた所がミミズ腫れになります。場合によっては患部が赤紫色に腫れ、水ぶくれになることもあります。

クラゲの毒(刺胞毒)は、タンパク性毒(タンパク質を溶かす毒)が主成分であり、ほかに溶血性毒や神経毒などの成分も含んでいます。
アンドンクラゲに刺されるとピリピリ痛むのは、毒が注入されて皮膚組織が破壊されるためであり、受傷の程度によっては、溶けた皮膚がケロイド状になって長期にわたって傷口が残ることもあります。

アンドンクラゲに刺されたときの応急処置

クラゲによる刺傷被害を避けるためには、肌の露出を少なくしたり、クラゲ予防クリームを塗るなどの対策が有効ですが、それでも万全ではありません。万一、アンドンクラゲに刺されたときには、応急処置はどうすればいいのでしょうか。

参考:ハブクラゲに刺されたときの応急措置(沖縄県石垣市の事例)

アンドンクラゲに刺されたときの応急処置も、ハブクラゲに刺されたときのそれと基本的に同じです。

アンドンクラゲに刺されたときの応急処置~写真は沖縄県石垣市のビーチに建てられたハブクラゲ注意の立て看板。アンドンクラゲに刺されたときも、応急処置はハブクラゲの場合と同じです。
ハブクラゲの注意看板=沖縄県
(画像提供:沖縄病)

写真は沖縄県石垣市のビーチに建てられたハブクラゲ注意の立て看板ですが、そこにはハブクラゲに刺されたときの応急処置の方法が書かれています。

  • 1)刺された箇所は決して砂や真水(水道水)でこすり落とさないでください。
  • 2)クラゲの触手を取り除くには、市販の食用酢を30秒かけ続けるか、海水で洗い流してください。
  • 3)酢を充分にかけ続けて病院に搬送してください。
  • 4)痛みがある場合は、氷や冷水で冷やしてください。
  • 5)心肺停止をしている場合は心臓マッサージや人工呼吸を行ってください。

食用酢の使用にはご注意を!

上記2~3の「食用酢をかける」ことについては注意が必要です。
ハブクラゲやアンドンクラゲなどハコクラゲの仲間には確かに酢が有効なのですが、本来のクラゲとは異なるカツオノエボシ(ヒドロ虫の仲間)には逆効果になるからです。カツオノエボシの触手に酢をかけると、その刺激で刺胞から新たな毒針が発射されて刺傷被害をさらに大きくしてしまいます。

したがって、どんなクラゲに刺されたのかがよくわからないときには酢は使わず、刺された箇所を海水でよく洗い流して、病院に急行するようにしてください。

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