コブラ科のヘビ 大研究
コブラ科の毒蛇とはこんな蛇

コブラ科のヘビは全種が毒蛇で、いずれも猛毒の持ち主です。コブラ科のヘビについてまとめました。

キングコブラ/コブラ科のヘビ
キングコブラ。世界最大の毒蛇で体長は最大で5mを超える。
(画像提供:amanaimages)

コブラ科のヘビは、毒蛇の世界では超エリート集団で有名人?ぞろいです。
コブラ科は全種が毒蛇で、いずれも猛毒の持ち主。主に神経毒をもっていて、毒の強さと言ったら半端ではありません。

世界最強の毒蛇ランキング トップ50」によると、毒性の強さ50傑の中で、なんと45種までがコブラ科のヘビ(ウミヘビ含む)で占めています。トップ10に至っては全種がコブラ科です。

そのなかで堂々の第1位はインランドタイパン(ナイリクタイパン)。知る人ぞ知るヘビ界の大スターで、世界一の猛毒の持ち主です。第2位はイースタンブラウンスネーク。こちらも有名ですね。知名度が格段に高いインドコブラは第30位にランクされています。

そんな猛者ぞろいの毒蛇集団、コブラ科のヘビの世界を覗いてみましょう。

コブラ科のヘビ

猛毒・コブラの仲間

コブラ科のヘビは、陸棲種の43属265種が知られており、その全種が有毒蛇です。

これとは別に海棲種のウミヘビ科(17属63種)のヘビがいますが、ウミヘビはもともとコブラ科のヘビが海に進出して水棲生活に適応したものであり、系統的にはコブラ科に含まれるものです。そのため分類上もコブラ科に含めて、ウミヘビ亜科とする説もあります。

ここでは陸棲種のコブラ科のヘビを取り扱います。ウミヘビについては別ページ「ウミヘビ生態画像 」を参照してください。

コブラ科には次のようなヘビがいます。

  • フードコブラ属(23種)~インドコブラ・アスプコブラ・クロクビコブラ
  • キングコブラ属(1種)~キングコブラ
  • マンバ属(4種)~ブラックマンバ・ヒガシグリーンマンバ
  • リンカルス属(1種)~リンカルス(ドクハキコブラ)
  • アマガサヘビ属(12種)~アマガサヘビ・マルオアマガサ
  • タイガースネーク属(2種)~タイガースネーク
  • ブラウンスネーク属(8種)~ブラウンスネーク・イースタンブラウンスネーク
  • タイパン属(3種)~タイパン・インランドタイパン

天敵マングースと死闘するインドコブラ/コブラ科の毒蛇
天敵マングースと死闘するインドコブラ(画像提供:amanaimages)

コブラ科の主要な毒蛇

アスプコブラ(エジプトコブラ)

コブラ科の毒蛇/アスプコブラ(エジプトコブラ)
(画像提供:flickr)

首の周りの皮膚を広げながら鎌首を持ち上げ、のどからシューという大きな噴気音を出す。コブラの威嚇のポーズはあまりにも有名です。
アスプコブラは別名をエジプトコブラともいい、インドコブラと同じフードコブラ属に属する毒蛇です。

古代エジプトでコブラは王権の印であり守護神でした。エジプト最後の女王クレオパトラは、ローマとの戦いに敗れ、悲嘆してこのコブラに胸をかませて自らの命を絶ったと伝えられています。


キングコブラ

コブラ科の毒蛇/キングコブラ
(画像提供:Yahoo きっず図鑑)

世界最大・最長の毒蛇。大きな個体では体長5.5mに達するものもいます。中国南部や東南アジアの森林地帯に生息。毒性はそれほど強くありませんが、保有する毒量が多く、20人の致死量に相当する神経毒をひとかみで注入する力があると言われています。

ただ、キングコブラは姿に似合わず、おとなしい性格の蛇です。枯葉などで巣をつくり、孵化するまで卵を守るやさしさも備えています。


リンカルス

コブラ科の毒蛇/リンカルス(ドクハキコブラ)
(画像提供:Friends of Rietvlei)

毒蛇の毒の使い方は「咬みついて、離れる」が基本ですが、中には変わり種の毒蛇もいます。アフリカに生息するリンガルスやクロクビコブラなどの、俗にドクハキコブラといわれる種です。
彼らは危険が迫ると、敵の目をめがけて毒液を吹きかけることで有名です。毒液は2~3メートルの距離を飛び、相手の視力を奪います。
毒液は吹き付けるだけでなく、直接噛み付いて注入することもあり大変危険です。


アマガサヘビ(インドアマガサヘビ)

コブラ科の毒蛇/アマガサヘビ(インドアマガサヘビ)
(画像提供:Snakes of Taiwan)

インドには危険な毒蛇がたくさん生息していますが、とりわけアマガサヘビは、インドコブラ・ラッセルクサリヘビ・カーペットバイパーと並んで「インド四大毒蛇」として恐れられています。

アマガサヘビはあまり攻撃的な性格ではありませんが、餌の小型哺乳類やカエルなどを追って人家付近や耕作地に現れるため、人間と遭遇する機会が多い。はだしで歩いていて咬まれる事例も多く報告されています。


インランドタイパン

コブラ科の毒蛇/インランドタイパン
(画像提供:scribol.com)

オーストラリアの内陸部に棲息するコブラ科の毒蛇で、ナイリクタイパンとも呼ばれます。毒性はすべての毒蛇の中で最強で、マウス10万匹を殺せる毒を体内に持っています。
タイパンの仲間は全長が最大3.4mにも達し、コブラ科ではキングコブラ、ブラックマンバに次いで3番目に長くなる種です。性質は荒く攻撃的で、動作も素早く、恐ろしい毒蛇です。


ブラックマンバ

コブラ科の毒蛇/ブラックマンバ
(画像提供:世界タイムズ)

アフリカのサバンナに棲み、強力な神経毒を持つ毒蛇です。ブラックマンバは行動が俊敏で、神経質で、危険を感じると非常に攻撃的になります。
世界で最も多くの人間の命を奪った毒蛇だともいわれています。
体長は普通の個体で2.5m、最大では4.5mに達します。とにかく長い。それだけで恐怖ですが、さらに名前の由来となった「黒い口腔」がなんとも不気味です。


コブラ科のヘビ毒(神経毒)

コブラ科のヘビ毒は主に神経毒です。神経毒は即効性があり、神経の放電を塞ぐことで、麻痺やしびれ、呼吸停止や心停止を引き起こし、ひいては死に至ります。
出血毒と比べて毒の回りが早く、致死性が高いのが特徴です。

俗に「コブラ科の毒は神経毒で、クサリヘビ科の毒は出血毒」だと言われます。正確にはこの表現は正しくありません。
毒蛇はどの種であろうと、基本的に神経毒と出血毒の両方を併せて持っています。「コブラ科の毒は神経毒の割合が多く、クサリヘビ科の毒は出血毒の割合が多い」というのが実情です。

実際コブラ科のヘビでも、ドクハキコブラとして有名なリンカルスやクロクビコブラなどは、コブラ毒の代名詞である神経毒よりも出血毒を多く持つため、 咬まれるとその出血毒の作用で、患部が壊死することも少なくありません。タイパンなども強い出血毒を併せ持つことが知られています。

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