レースラフティング(競技ラフティング)
激流をゴムボートに乗って豪快に川下りするラフティング。レースラフティングの種類と、競技コースの「流れのグレード」についてまとめました。
激しい戦いが繰り広げられるレースラフティング
(画像提供:鳥取大学)
レースラフティングは、その名のとおりラフティングのレース、競技です。激流をいかに早く正確に下れるかを競います。
激流での操艇技術の高さが求められますが、それ以上に、チームワークと川を読む力が重要になります。
激流に挑む「度胸」と、自然や仲間と調和する「精神」、川の流れを読む「知性」、激流を漕ぐ「体力」がすべて要求される激しいスポーツ。
これがレースラフティングです。
※ わが国のレースラフティングは日本ラフターズ協会(Japan Rafters Federation=略称JRF)の主催・指導の下に開催されています。
日本ラフターズ協会は、レースラフティングを活動の柱に据え、日本におけるラフティングの普及と、日本のラフティング・レベル向上を目的として活動しています。
レースラフティング
レースラフティングの種類
レースラフティングは、6人乗り部門と、2010年に新設された4人乗り部門があります。世界ラフティング協会(IRF)のルールに則り、それぞれ以下の4つの競技種目が行なわれています。
◆ダウンリバー:
5キロ以上の長距離コースで、激流下りのタイムを競います
◆スプリント:
500メートル以内の短距離レースです
◆H2H:
500メートル以内の短距離レースを2艇同時スタートのトーナメント方式で競います
◆スラローム:
設置されたゲートを通過するタイムを競います。ゲートの不通過や接触は減点になります
世界トップレベルにある日本のレースラフティング技術
2010年度オランダ世界選手権総合優勝の日本男子チーム
(画像提供:日本ラフターズ協会)
わが国でも日本ラフターズ協会の主管のもとに、レースラフティング全日本選手権とレースラフティング・ジャパンカップが開催されています。
このうち全日本選手権は、レースラフティング世界選手権大会に出場する日本代表チームの選考会を兼ねており、プロチームも参加する大変レベルの高い競技会になっています。
ちなみに日本チーム(男子)は、2010年度オランダ世界選手権で総合優勝を飾っています。
また、2013年にはニュージーランド大会で、冒頭写真の鳥取大学チームが種目別競技の「スプリント」(短距離レース)と「H2H」(2チームによる直接対決のレース)でそれぞれ3位になっています。
日本のレースラフティングの競技レベルは、世界の最高水準にあるといってもいいでしょう。
レースラフティングのコース設定~流れのグレード
川の流れは「激流の程度」(流れの激しさ)に応じて、グレード1~6で表示されます。
- グレード1
- 障害物がほとんど無く、流れの表面にわずかなさざ波ができる程度の流れ。
- グレード2
- 約1m 以下の波が立つ簡単な早瀬。流れの幅は広く見通しが良いので、岸からの偵察は特に必要としない。
- グレード3
- 高くて不規則な波がある早瀬。水路の幅が狭く、複雑で高度な技術を必要とする。偵察が必要であり、しばしばフリップ(転覆)することがある。
- グレード4
- 漕ぎ下れる場所が限られた難しい早瀬が長く連続する。非常に激しい波が発生し、正確な技術が要求される。偵察は欠かせない。レスキュー困難であり、フリップから回復できなければならない。
- グレード5
- きわめて困難。長く非常に激しい早瀬で、ルートが極めて複雑なため、必ず事前の偵察を要する。レスキュー困難で場合によっては生死に関わる危険がある。
現在世界レベルでも競技のできる最難グレードとされている。
- グレード6
- ラフトボートでは通過不可能な激流。
あらゆる船の漕行限界で、極めて危険で困難。
したがって、レースラフティングの舞台となる激流は、最高でグレード5の流れが選ばれます。
これまでもラフティング世界選手権など本格的な国際大会では、世界クラスのグレード5の激流で行われてきました。
グレード5というのは、激流のうねりは4メートルを超え、落差5メートル級の滝も含みます。十分な知識と技術を持ったクルーでもわずかなミスで転覆する、極めて難易度の高い激流です。
近年では、6人乗り部門を上記のような自然のなかの激流で行ない、2010年に新設された4人乗り部門は、人工コースと呼ばれる都市近郊のコースで開催される傾向にあります。
これは、世界ラフティング協会(IRF)が、4人乗り部門でのレースラフティングをオリンピックの正式種目に採用させることを目標に掲げて活動しているためです。
カヌー競技と同様に、レースラフティングもまた、近い将来にオリンピックの正式種目に採用されることになりそうです。
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