吸血コウモリに咬まれて子供12人死亡
南米ペルー

南米ペルーで、先住民の子どもが吸血コウモリに咬まれたあと、狂犬病を発症して死亡したという話。 長老たちはみんな、子どもたちが死んだのは魔術のせいだと考えていたそうです。

吸血コウモリ。野生動物だけでなく時には人間を襲うことも・・。狂犬病ウイルスをもっていて、咬まれると危険。南米ペルーでは、吸血コウモリに咬まれたことで狂犬病を発症し、12人の子供が相次いで死亡しました。
吸血コウモリ(チスイコウモリ)。野生動物だけでなく時には人間を襲うことも・・
(画像提供:A WORD)

フランスの通信社・AFPが報じたところによると、南米ペルーで、先住民の子ども少なくとも12人が、コウモリに咬まれた後で狂犬病を発症して死亡したという。保健当局によると、地元住民らは当初、魔術のせいだと信じていたそうです。(2016年2月12日配信)

記事によると、死者が出たのは首都リマ(Lima)から北に1100キロ離れた、アマゾン密林にある先住民族の2つの村。昨年9月から今年2月にかけて、8~15歳の子ども12人が相次いで死亡しました。
子どもたちは全員、吸血コウモリにかまれた後で死亡しており、症状と診断結果から、狂犬病に感染していたことが保健当局によって確認されました。

びっくりするのは、村の人たちの行動です。 長老たちはみんな、子どもたちが死んだのは魔術のせいだと考えていたようです。そのため当局への狂犬病発生の報告もしていませんでした。

まだまだ、魔術が通用している部族・民族・地域があるんですね。驚きです。
そういえば日本だって、いまだに、雨ごいや豊作祈願、病気快癒などの祈祷が行われています。これも一種の魔術でしょうか。

吸血コウモリと狂犬病

吸血コウモリ/チスイコウモリとは

コウモリは空を自由に飛ぶことができる唯一の哺乳動物です。約980種が知られていますが、血を吸うコウモリは、ナミチスイコウモリ、シロチスイコウモリ、ケアシチスイコウモリの3種類だけです。これら3種のチスイコウモリは、血液だけをエサにして生きています。

チスイコウモリの分布域は、南北アメリカ大陸とヨーロッパの一部地域であり、アジアにはいまのところ生息していません。
チスイコウモリのおもな獲物は馬や牛などの家畜と鳥類です。ナミチスイコウモリは家畜、シロチスイコウモリは鳥や家畜、ケアシチスイコウモリは鳥の血を吸っています。

ナミチスイコウモリ

ナミチスイコウモリ/吸血コウモリの代表種。メキシコや中央アメリカおよび南アメリカの熱帯地方に生息しています。今回、ペルーで12名の子供の命を奪ったのもこのナミチスイコウモリです。
ナミチスイコウモリ。ペルー事件の主役です。
(画像提供:NATIONAL GEOGRAPHIC)

吸血コウモリといえばこれ! ナミチスイコウモリは、吸血コウモリの代表種です。今回ペルーで殺人事件を起こした犯人も、このナミチスイコウモリでした。

ナミチスイコウモリは、ヘラコウモリ科チスイコウモリ属に分類されるコウモリです。メキシコや中央アメリカおよび南アメリカの熱帯地方に広く分布しています。

彼らは、昼間は洞穴の天井から上下逆さまでぶら下がって寝ています。そして夜が訪れると、仲間たちと連れだって、一斉に闇夜に飛び立ちます。ナミチスイコウモリが狙うのは、おもに牛や馬などの家畜です。稀に人間を襲うこともあります。

ナミチスイコウモリは獲物を地面から襲います。寝ている獲物の近くに下りたち、相手に気づかれないように地上を四つん這いで歩いて接近します。まるで忍者のようです。
彼らは鼻の上に高性能な温度センサーをもっているため、暖かい血液が流れている皮膚を容易に見つけだして、ナイフのような鋭い牙でほんの少し切り裂き、流れ出る血液を舌でペロペロなめるのです。

ナミチスイコウモリは、1回の採餌で最大25mlの血液を吸うそうです。この程度の量なら、牛や馬(そして人間)にとっては失血しても大したことではありません。
恐ろしいのは、その咬み傷から狂犬病ウイルスなどが侵入して、死に至る感染症を引き起こす場合があることです。

狂犬病の感染

狂犬病は、狂犬病ウイルス (Rabies virus) を病原体とするウイルス性の人獣共通感染症です。狂犬病ウイルスは、ヒトを含む全ての哺乳類に感染します。

ヒトへの感染源はほとんどがイヌですが、コウモリなどイヌ以外の野生動物が感染源となることがあります。実際、世界では次のような動物からヒトが感染した例があります。

イヌ、キツネ、コウモリ、マングース、ジャッカル、アライグマ、スカンク、コヨーテ

一般には感染した動物の咬み傷などから、唾液とともにウイルスが侵入して感染するケースが多いのですが、愛玩動物の場合には、傷口を舐められたり、目や唇などの粘膜を舐められて感染したケースが報告されています。

狂犬病の症状

狂犬病/暴れないように両手足をベッドに縛り付けられた狂犬病患者
暴れないように両手足を縛られた狂犬病患者
(画像提供:wikipedia)

狂犬病は、侵入してきたウイルスによって脳神経が侵される病気です。
脳神経が浸されるため精神錯乱などの神経症状があらわれ、狂ったように暴れて、ほぼ100%が死に至ります。発症後の有効な治療法はありません。

エイズ(後天性免疫不全症候群)と並んで、狂犬病はこの世でもっとも致死率が高い病気とされており、全世界では毎年50,000人以上が死亡しています。

狂犬病は大変恐ろしい病気です。いったん発症すると治癒は絶望的ですので、わたしたちとしては狂犬病にかからないように予防を徹底するしか方法はありません。

予防法で有効なのはワクチン接種です。
感染前であれば、ワクチン接種によって予防が可能です。これはヒト以外の動物でも同様であり、そのため日本では狂犬病予防法によって、飼い犬の役所への登録と毎年1回の狂犬病ワクチンの予防接種が義務付けられています。

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