家にいる足が長い大きな蜘蛛(くも)
アシダカグモの生態と特徴

家で見かける脚が長い大きな蜘蛛(クモ)=アシダカグモ。アシダカグモは巨大な蜘蛛で、天井などに張り付いている姿はとても不気味です。アシダカグモの驚くべき生態に迫ります。

家にいる脚が長い大きな蜘蛛(くも)/アシダカグモ
家の中に棲むアシダカグモ。ゴキブリなどをとってくれる益虫でもある。
(画像提供:KONOMI)

時おり家の天井や壁で、脚が長い黒い大きな蜘蛛(くも)を見かけることがあります。アシダカグモです。巣を張らずに、歩いて餌を探し回る徘徊性の蜘蛛です。

体の色は黒色に見えることもありますが、落ち着いてよく観ると暗灰色~灰褐色をしています。多少のまだら模様があります。

このアシダカグモ。体長は20~30mm程度なのですが、脚(=足)がとてつもなく長く、脚まで入れた全長は100~130mmにもなります。わが国では最大級の巨大蜘蛛です。

アシダカグモは主に人家に生息し、ゴキブリなどの衛生害虫を捕食しています。人間にとっては有難い存在のはずなのですが、その不気味な姿態ゆえに忌み嫌う人も多くいます。

アシダカグモの生態を詳しく観てみましょう。

家にいる蜘蛛(クモ)=アシダカグモ

アシダカグモとは

アシダカグモ(脚高蜘蛛)は、クモ目アシダカグモ科に属する蜘蛛(くも)です。名前のとおり長い脚を持っていて、わが国でも最大級の大型クモとして知られています。

蜘蛛は一般に網を張って獲物を待ち構えていると思われがちですが、実際には、日本国内にいる1200種のクモのうち半分の種は網を張らないで獲物を狩ります。アシダカグモも網を張らない蜘蛛の一種で、歩き回って獲物を探す徘徊性の蜘蛛です。

アシダカグモは夜行性で薄暗い所を好み、昼間は隙間などに隠れていて、夜になると壁などに出てきて捕食行動をとります。主に人家に生息していて、ゴキブリや蛾(ガ)蝿(ハエ)など、家に入ってきた昆虫を捕食します。

アシダカグモはインドが原産地と考えられていますが、今では熱帯から温帯地域にかけて、世界中の広い範囲に分布しています。日本では福島県以南の本州・四国・九州地方に生息しています。

アシダカグモは超大型の手のひらサイズ

アシダカグモは超大型の手のひらサイズ/家にいる蜘蛛(クモ)=アシダカグモ
(画像提供:虫づくし)

アシダカグモは全長が100~130mmにもなる大型のクモです。音楽用CDの直径が117mmですから、この蜘蛛がいかに大きなクモであるかが判ります。人の手に乗っけても御覧のとおり。手のひらいっぱいになる大きさです。


ゴキブリを捕食するアシダカグモ

ゴキブリを捕食するアシダカグモ/家にいる蜘蛛(クモ)=アシダカグモ
(画像提供:虫navi)

アシダカグモは昆虫なら何でも食べますが、とりわけゴキブリが主食のようなものです。昼間は屋根裏や家具の隙間、壁の隙間などに潜んでいて、夜になると徘徊して家に侵入してきたゴキブリを探して食べてくれます。見かけは大型グモで気持ち悪いのですが、人間にとっては衛生害虫を駆除してくれる益虫でもあります。


子煩悩なアシダカグモ/移動中も卵嚢を抱いて守ります

子煩悩なアシダカグモ/卵嚢を抱いて移動します
(画像提供:虫づくし)

アシダカグモは1年に2回ほど産卵します。徘徊性のアシダカグモには巣(=家)がありませんので、卵を守るために円盤状の卵嚢(らんのう)を口にくわえて、子グモが孵化するまでのあいだ餌も食べずに持ち歩きます。母性愛は見上げたものです。


アシダカグモに毒はあるのか/アシダカグモの毒

アシダカグモは日本でも有数の大型クモであり、その姿・形から、毒蜘蛛のタランチュラを連想する人もいるようです。「アシダカグモには毒があるのでしょうか?」「アシダカグモは毒蜘蛛なの?」そんな質問も多く寄せられます。

結論から言いますと、アシダカグモにも毒はあります。

網を張らない徘徊性の蜘蛛は生きた獲物を確実に仕留めるために、毒性の強弱はあっても何らかの毒を備えています。セアカゴケグモやカバキコマチグモなどは人を死に至らしめるほどの強力な毒を持っていることでも有名です。

ただし、アシダカグモの毒は極々弱い毒であり、捕獲する昆虫にはダメージを与えますが、人間にとっては無毒に等しく、危険は全くありません。また指で強くつかんだりしない限り、アシダカグモの方からヒトを咬むようなことはないので、安心してください。

アシダカグモの駆除方法

アシダカグモはゴキブリを退治してくれる益虫ですが、クモが嫌いな人にとっては、図体が大きなアシダカグモは悪魔のような存在でしかありません。何とか早く「消えてもらいたい」と思うことでしょう。

アシダカグモの駆除方法にはいろいろありますが、最も手っ取り早い方法は、殺虫剤を吹き付けて殺すことです。手元に殺虫剤が無ければ、(嫌な作業になりますが)古新聞か雑誌を丸めてアシダカグモを目がげて打ち付ければ、命中さえすれば一撃で殺処分することができます。

ただ、こんなに嫌な思いをして駆除しても、日にちが経てば、別のアシダカグモがエサのゴキブリを求めてどこからともなく室内に現れるようになります。

やはり根本退治をするためには、まずはゴキブリ退治から初めたほうがよさそうです。ゴキブリがいない衛生的な室内環境を維持することが第一です。エサが無ければアシダカグモも、あなたの家には寄り付かなくなるでしょう。

部屋の壁を這うアシダカグモ

部屋の壁を這うアシダカグモ/家にいる蜘蛛(クモ)
(画像提供:クモ綱画像)

アシダカグモは家の中にはどこだって現れます。寝室、台所、居間、勉強部屋、納戸の中、廊下、玄関、などなど。
電気を点けた途端、目の前の壁をアシダカグモが這っていて、びっくりすることもあります。


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