地震の震度とは
気象庁震度階級について
地震のたびに報道される「震度」。たまに「マグニチュード」と混同されている方もいますが、震度とは、ある地点における地震の揺れの大きさを表した指標です。震災被害とも密接に関連した、地震の「震度」についてまとめました。

最大震度7を記録した平成28年熊本地震の被災状況。多くの家屋が全半壊しました。
(画像提供:Taro Karibe/Getty)
地震のたびに報道される「震度」。この震度とは、ある地点における地震の揺れの大きさを表した指標ですが、日本では気象庁が制定した震度階級が使われており、正確には「気象庁震度階級」といいます。単に震度階級あるいは震度階といわれることもあります。
この気象庁震度階級(いわゆる震度)は、震度0(ゼロ)から震度7まであり、さらに震度5と6とを弱と強に二分して、合計10階級のレベルで表現しています。
わが国で最大震度7が記録された地震はこれまでに5回あります。①平成7年兵庫県南部地震(阪神淡路大震災・1995年1月)、③平成16年新潟県中越地震(2004年10月)、③平成23年東北地方太平洋沖地震(東日本大震災・2011年3月)、④平成28年熊本地震(2016年4月=2回)です。いずれも多くの人命が失われ、家屋全壊や道路・鉄道・上下水道など社会インフラに甚大な被害が生じています。
震災被害とも密接に関連した、地震の「震度」についてまとめました。
気象庁震度階級
震度とは/計測震度計とは

計測震度計
(画像提供:Engineer Antenna)
気象庁が発表する震度は、気象庁、地方公共団体及び(独)防災科学技術研究所が全国各地に設置した震度観測点で観測した震度です。
この震度は、かつては体感および周囲の被害状況などから推定していましたが、平成8年(1996年)4月以降は「計測震度計」により自動的に観測し速報しています。
計測震度計というのは地震計の一種で、地震により発生した地震動を計測し記録するとともに、計測された地震動から計測震度を算出する機能を持たせたものです。いわば自動計測と自動演算装置とを一体化させた地震計が「計測震度計」なのです。
この計測震度計というハイテク機材のおかげで、私たちは地震発生から極めて速い段階で、全国各地の震度を知ることができます。
震度階級
地震の震度階級は、震度0から震度7まで8階級あり、さらに震度5と6とを弱と強に二分して、合計10階級のレベルで表現しています。
震度階級はかつては震度6が最高でしたが、1948年の福井地震をきっかけに、より大きな揺れを表現するために震度7が新設されました。また、1996年10月からは震度5と震度6とをそれぞれ弱と強に二分して、より細かく揺れの程度を把握できるように改善して現在に至っています。
気象庁から発表される震度は、計測震度計で求めた計測震度を±0.5の範囲でラウンド数にまとめたものです。すなわち「震度4」というのは、計測震度4±0.5、つまり「計測震度3.5以上~4.5未満」の揺れを意味しています。
したがって、同じ震度4といっても、3.5に近い揺れから4.5に近い揺れまで、じつに「震度が一つ違う」ほどの差があります。同じ震度でも「弱く感じたり強く感じたり」、地震ごとに揺れに対する印象が違うのはこのためです。
気象庁震度階級表

震度と揺れ・被害等の関連
地震の震度と、揺れおよび被害等の関連はおおむね以下の通りです。
なお、気象庁が発表する震度は、計測震度計を設置した「震度観測点」での震度です。自宅などで実際に体感する震度は、建物の構造や地形、地盤の状態(地盤強度、軟弱層の厚さ)などによっても異なります。また、同じ市町村であっても場所によって震度が異なることがあります。
震度と揺れ等の状況(概要)
~ 気象庁による ~
震度0 |
・人は揺れを感じないが、地震計には記録される。 |
震度1 |
・屋内で静かにしているにしている人の中には、揺れをわずかに感じる人がいる。 |
震度2 |
・屋内で静かにしているにしている人の大半が、揺れを感じる。
・眠っている人の中には、目を覚ます人もいる。 |
震度3 |
・屋内にいる人のほとんどが、揺れを感じる。
・歩いている人の中には、揺れを感じる人もいる。
・眠っている人の大半が、目を覚ます。 |
震度4 |
・ほとんどの人が驚く。
・電灯などのつり下げ物は大きく揺れる。
・座りの悪い置物が倒れることがある。 |
震度5弱 |
・大半の人が、恐怖を覚え、物につかまりたいと感じる。
・棚にある食器類や本が落ちることがある。
・固定していない家具が移動することがあり、不安定なものは倒れることがある。 |
震度5強 |
・物につかまらないと歩くことが難しい。
・棚にある食器類や本で落ちるものが多くなる。
・固定していない家具が倒れることがある。
・補強されていないブロック塀が崩れることがある。 |
震度6弱 |
・立っていることが困難になる。
・固定していない家具の大半が移動し、倒れるものもある。ドアが開かなくなることがある。
・壁のタイルや窓ガラスが破損、落下することがある。
・耐震性の低い木造建物は、瓦が落下したり、建物が傾いたりすることがある。倒れるものもある。 |
震度6強 |
・立っていることができず、はわないと動くことができない。飛ばされることもある。
・固定していない家具のほとんどが移動し、倒れるものが多くなる。
・耐震性の低い木造建物は、傾くものや、倒れるものが多くなる。
・大きな地割れが生じたり、大規模な地すべりや山体の崩壊が発生することがある。 |
震度7 |
・耐震性の低い木造建物は、傾くものや、倒れるものがさらに多くなる。
・耐震性の高い木造建物でも、まれに傾くことがある。
・耐震性の低い鉄筋コンクリート造の建物では、倒れるものが多くなる。 |
さらに詳しい情報が必要な方は、気象庁ホームページ「気象庁震度階級関連解説表」を参照してください。震度階級に対応した以下の状況について、詳しい解説がなされています。
1)人の体感・行動、屋内の状況、屋外の状況
2)木造建物(住宅)の状況
3)鉄筋コンクリート造建物の状況
4)地盤・斜面等の状況
5)ライフライン・インフラ等への影響
6)大規模構造物への影響
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