ツマアカスズメバチの生態と危険性
(危険なスズメバチ情報)

ツマアカスズメバチはインドネシア原産のどう猛で繁殖力が強いスズメバチ。マレーシアやインドネシアなどではツマアカスズメバチに刺されてヒトが死亡する事例も発生しています。ツマアカスズメバチとはどんなスズメバチなのか? その特徴と生態に迫ります。

ツマアカスズメバチ~中国原産の獰猛なスズメバチ。対馬に続いて北九州市で発見。日本本土に拡散の恐れ
獰猛なツマアカスズメバチ(外来種/特定外来生物)~海外では死亡事例も!
(画像提供:パンデモニウム)

ツマアカスズメバチはインドネシア・ジャワ島原産のスズメバチで、繁殖力が高く、きわめて獰猛な性格で知られています。インドネシアやマレーシア、台湾などでは、ツマアカスズメバチに刺されてヒトが死亡する事例も発生しています。

わが国では、2013年に対馬(長崎県の離島)で初めて定着が確認されました。養蜂用のミツバチを好んで捕食することから、養蜂事業への被害が深刻です。
環境省は外来生物法に基づき、ツマアカスズメバチを「特定外来生物」に指定して取締りを強化していましたが、2015年8月に北九州市で営巣しているツマアカスズメバチを発見。すでに本土にも移入していることが確認されました。今後、日本全国に移入分布していくことが懸念されています。

獰猛なツマアカスズメバチの生態を、写真で確認しておきましょう。
もしかしたら、私たちの身近にもすでに定着しているかもしれません。

ツマアカスズメバチとはこんな蜂

ツマアカスズメバチの特徴

ツマアカスズメバチは、スズメバチ科スズメバチ属に属する、正真正銘のスズメバチです。わが国で恐れられているオオスズメバチと同じスズメバチ属のハチであることからも分かるように、性格はきわめて獰猛で、攻撃性も強く、危険です。

ツマアカスズメバチの体色は全体的に黒っぽく、おなかの先端付近が赤褐色であることから、オオスズメバチとは容易に区別がつきます。ちなみに、名前の「ツマアカ」とは、胴体の端っこが赤いという意味です。

ツマアカスズメバチはインドネシア(ジャワ島)が原産地ですが、繁殖力が極めて高く、すでに世界各国に移入して繁殖しています。
アジアでは、西はパキスタンから、東南アジア各国を経て中国南部や台湾、韓国に達する広域に分布。ヨーロッパでもフランス・スペイン・ポルトガル・ベルギー・ドイツで移入が確認されています。

日本には、隣国の韓国から、輸入貨物などに紛れて侵入してきたと考えられています。

ツマアカスズメバチとオオスズメバチとの違い(比較)

ツマアカスズメバチとオオスズメバチとの違い(比較)
ツマアカスズメバチ(左)とオオスズメバチ(右)

ツマアカスズメバチとオオスズメバチとは同じスズメバチ属に属する近縁種です。だから両者は大変よく似ています。ただ、ツマアカスズメバチのほうが幾分小柄で、体色も黒っぽく見えます。

ツマアカスズメバチ
体長:30mm(女王バチ)、20mm(働きバチ)
体色:全体的に黒色で、腹部の先端は赤褐色
食性:様々な昆虫を獲物とし、空中を飛翔中のアブやトンボ、ミツバチをよく捕食する。樹液や花の吸蜜、果物も食べる。
営巣:最初は茂みや低木の枝、地中に営巣し、コロニーが大きくなると樹木の上部に巣を移す。

オオスズメバチ
体長:40~45mm(女王バチ)、30~40mm(働きバチ)
体色:頭部はオレンジ色。胸部は黒色、腹部は黄色と黒色の縞模様
食性:コガネムシ、カメムシ、他種のハチ(ミツバチ・キイロスズメバチ等)、蝶・蛾、昆虫の幼虫(イモムシ)などを捕食。クヌギなどの樹液やヒトが飲み残したジュースなども飲みに来る。
営巣:木の根元などの土中や、樹洞などの閉鎖空間に巣を作る。

ツマアカスズメバチの生態画像

ミツバチを襲撃するツマアカスズメバチ

ミツバチを襲撃するツマアカスズメバチ
(画像提供:蜂の研究室)

ツマアカスズメバチはミツバチを好んで捕食します。その狩りの方法は巣への侵入ではなく、巣に戻ってくる直前のミツバチを1匹ずつ個別に襲うことが大半のようです。
1対1のガチンコ勝負ではミツバチに勝ち目はありません。


ツマアカスズメバチの巣

高い木の枝につくられたツマアカスズメバチの巣
(画像提供:ざわざわ走り書き)

ツマアカスズメバチの巣は通常、高さ10~30mほどの高木の枝につくられます。クレーン車や高所作業車でも届かないことがあり、駆除が大変です。
都市部では高層マンションの壁などに営巣することもあります。韓国ではマンション住人が刺されるケースも発生しています。


こちらは北九州市で見つかった巣(駆除後)

ツマアカスズメバチの巣
(画像提供:北九州市)

北九州市門司区で見つかったツマアカスズメバチの巣。下水処理場内のイチョウの木に営巣していました。
巣の直径は約50cm。地上から約7メートルの高さにありました。


果物を食べるツマアカスズメバチ

果物をほおばるツマアカスズメバチ
(画像提供:swissinfo.ch)

ツマアカスズメバチの主食は昆虫ですが、本来は雑食性で何でも食べます。花の蜜を吸蜜したり、果物の果肉を食べている姿もときおり目撃されます。
果糖などの糖分は高カロリーで、優れたエネルギー源です。


↓↓ タイトルをタップ/クリック(内容表示)

アウトドア趣味に関する総合情報サイト>死ぬほど危険な生き物情報>獰猛なツマアカスズメバチ