アカエイ
(尾のトゲに猛毒を持つ刺毒魚)

アカエイは棘に猛毒をもつ刺毒魚です。浅海の砂地や泥地を好み、日本沿岸にはどこにでも生息しています。アカエイにご注意を!

アカエイ|尾のトゲに猛毒をもつ。浅い砂地・泥地を好み、日本の沿岸にはどこにでもいるので注意が必要。
アカエイ。尾の棘に猛毒をもつ。(画像提供:虫撮る人々)

アカエイは、トビエイ目アカエイ科に属するエイで、日本を含む東アジアの沿岸域に広く分布しています。

浅海の砂地や泥地を好み、海水浴場や河口の汽水域にも生息しているので、釣りや潮干狩り、海遊びをする場合はアカエイに遭遇する機会が多く注意が必要です。

一番危険なのは、浅くもぐったアカエイを踏みつけたとき・・・です。

ヌルっとしたものを踏んだ直後に、グサリと何かが刺さったような強烈な痛みを感じた場合は、アカエイの仕業と考えられます。

死を免れても、かなり長期の治療を覚悟しなければなりません。
アカエイによる刺傷被害の事例も載せておきます。

怖いアナフィラキシーショック

アカエイの生態

アカエイは浅海の砂底や泥底を好み、貝類や頭足類・甲殻類・魚類などの底生生物を捕食しています。餌を求めて干潟や人工海浜、河口付近の汽水域など浅場に現れることも多く、岸から肉眼で目撃されることも多い。アカエイは、言わば日本沿岸のどこにでもいるポピュラーな魚なのです。

アカエイは、普段は砂底に浅く潜り、目と噴水孔、尾だけを砂の上に出してカモフラージュしています。危険なのはこんなアカエイの存在を知らずに足で踏みつけてしまったときです。毒トゲによる攻撃を受ける危険があります。潮干狩りや海水浴、サーフィン、波打ち際での遊び、海釣りなどのレジャーでは特に注意してください。

アカエイ(尻尾に毒トゲ)

アカエイ/尻尾の中ほどに毒棘があり刺されると危険
(画像提供:nogumagu水産)

アカエイは、その名のとおり「赤っぽい色」をしたエイです。背面は茶褐色。腹面は全体的に白く、ひれの辺縁部が黄色~オレンジ色で縁取りされています。
長い尻尾の中ほどに10cmほどの長くて太い棘(トゲ)があり、この棘に毒腺があります。
左の画像でも毒トゲがはっきり確認できます。


アカエイの毒トゲ(拡大画像)

アカエイの毒棘
(画像提供:会長のバス釣り部屋)

棘には鋸歯状の「返し」があり、一度刺さると抜けにくくなっています。また無理に抜こうとすると傷口が広がり、さらにダメージが大きくなります。
毒トゲには、尾を振り回すことで切り裂くナイフのような働きもあり、アカエイに触ったり踏みつけたりすると思わぬ大怪我をすることもあります。


アカエイの毒

トゲを持った魚の毒は種類による違いはあるものの「タンパク質毒」といわれ、直接キズの中の細胞を壊し炎症を起こします。
そのため、刺された直後から激しい痛みに襲われ、10分ぐらいすると刺すような痛みに変わります。細胞が破壊され壊死を起こし始めます。重症の場合は血圧低下、呼吸障害、下痢、発熱等の全身症状が出て、最悪の場合、アナフィラキシーショックにより死に至ることがあります。

アカエイに刺された場合は、患部を水やお湯でよく洗い、毒を搾り出した後、できる限り早く医療機関で手当てを受けるようにします。

タンパク質毒は熱に弱く、60℃以上の高温で毒の成分が分解されると言われています。
そのため、キズ口の周囲に火傷にならない程度の熱湯(43~50℃程度)を注いだり、容器に入れたお湯に患部を浸すなどの方法も、応急措置としては効果的だとされています。

アカエイによる刺傷被害事例(足への負傷事例)

アカエイに刺された自らの体験をブログで公表してくれた方がいます。貴重な資料ですので、ここでも紹介させていただきます。
(オリジナルサイト:「 エイ被害の実体験」

アカエイの刺傷被害事例 足の傷口
血のりで覆われた傷口

この方は河口に釣りに来て、アカエイに足を刺されたのだそうです。台風通過後で水が濁っていて、摺り足で川底の起伏を確認しながら移動していたときでした。突然、足元で「ブルルどろるる」という感じの振動が起こり、次の瞬間「ゴン」と脛に衝撃が走りました。

その衝撃は「エイに刺される」という感覚とはまったく違い、「何か硬いものでぶん殴られる」といった「殴打」に近い感覚だったという。

車まで引き返す150mほどの間に、だんだんと痛みがひどくなって来たことで「エイに刺された可能性が高い」と感じました。
足を引きずりながらようやく車に到着。ウェーダーを脱ぎ、ズボンを確認すると血がべっとり。めくると刺し傷がありました。

それにしても、ウェーダーとズボンと靴下を突き破り、これだけの刺し傷を負わせるとは・・・「アカエイ恐るべし」です。
もし海水浴のような素肌だったら、もっともっと大きな負傷を覚悟しなければなりません。


このケースは幸いにも病院が近くにあり、負傷者自ら車を運転して病院に急行し治療を受けました。

ただ、エイ毒で細胞の一部が壊死しているため治療機関はことのほか長く、通院治療が9ヶ月かかって、ようやく病院での治療が一段落。それでも皮膚が完全に再生しきれていないので、満一年が経過してもなお自宅で、感染症に気をつけながら毎日包帯を取り替えて手当てを続けているということです。

全治1年?。いや全治2年でしょうか。アカエイは本当に恐ろしい毒エイです。

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アカエイ以外の毒エイ

エイの仲間には、尾棘(びきょく)と呼ばれる毒トゲを持つグループと、尾棘がなく毒をもたないグループがあります。毒トゲを持つグループの代表格がアカエイ類ですが、他にもヤッコエイやヒラタエイなどの危険なエイがいます。

ヤッコエイ

ヤッコエイ
(画像提供:Wikipedia)

アカエイ科に属するエイで、日本沿岸からインドネシア、北部オーストラリアにかけて生息。体色は暗緑色で、背面に青い斑点がある。
眼の周囲に特徴的な模様があることから英語で「Maskray」とも呼ばれ、ペットとして飼育されることもある。取扱は当然、要注意! 尾の基部に2本の毒棘がある。


ヒラタエイ

ヒラタエイ
(画像提供:遊魚漫筆)

こちらもアカエイ科に属するエイ。アカエイと同じような茶褐色の体色をしているが、尾は短く、尾の先端には尾ビレが付いている。
この尻尾の特徴から、ムチのような長い尻尾を持つアカエイとは容易に区別が付く。

アカエイと共に日本沿岸ではよく見かけるエイだが、アカエイよりも分布域が南方にあり、本州中部以南に生息している。


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