毒キノコの毒と生態
(画像で確認 危険な毒キノコ)

毒キノコの毒と生態~日本には約50種の毒キノコがあります。主な毒キノコの毒と生態画像を紹介します。毒キノコにご注意を! 山で見つけたおいしそうなシメジやヒラタケ。その野生キノコに毒があります。

ベニテングダケ/毒キノコの毒と生態
ベニテングダケ。有名な毒キノコで、さすがに誤食する人は少ない。
(画像提供:kihaの何でもブログ)

夏から秋にかけてのキノコ狩りは、とても楽しいアウトドアレジャーのひとつです。とりわけ山野に自生する野生キノコは、味よし食感よし経済性よし(無料)と三拍子揃っており、美味しさとロマンを求める美食家にはたまりません。

だが、毒キノコには十分に注意しなければなりません。毒キノコによる食中毒事故が毎年、多数発生しています。

日本のキノコのうち、毒キノコは約50種。そのなかで毒性が特に強いのは、タマゴテングダケ・シロタマゴテングダケ・タマゴタケモドキ・フクロツルタケ・ドクツルタケなどです。ドクツルタケなどの誤食による死亡事故も時々発生していて、過去20年間に30人の方が毒キノコ中毒で尊い命を落としています。

毒キノコ

毒キノコの生態画像・恐怖の毒キノコ10選(その1)

ここでは、ヒトを死に至らしめる猛毒を持った毒キノコを中心にして、食べると危険な恐怖の毒キノコを10種あげました。いわば毒キノコランキング ベストテンです。

ドクツルタケ(毒鶴茸)

ドクツルタケ/毒キノコの毒と生態

テングタケ科テングタケ属のキノコ。日本で見られるキノコの中では最も危険な部類の毒キノコです。雑木林の地上から発生し、全体が白色のキノコです。
中毒症状は、おう吐、腹痛、下痢、肝機能障害、腎機能障害。重症の場合は死亡します。死亡率の高さから、欧米では「死の天使」(Destroying Angel) ともよばれて恐れられています。


クサウラベニタケ(臭裏紅茸)

クサウラベニタケ/毒キノコの毒と生態

有名な食用きのこである「ウラベニホテイシメジ」と同じ時期、同じような環境に互いに混じりあって発生する毒キノコで、ベテランのキノコ採りでさえこの2種の判別は難しい。過去20年間の統計で、全国のキノコ中毒の約3割を占めている毒キノコが、このクサウラベニタケです。
中毒症状は、下痢、おう吐、腹痛など。食用のシメジ類にもよく似ているため注意が必要です。


ツキヨタケ(月夜茸)

ツキヨタケ/毒キノコの毒と生態

山地のブナやナラの枯れ木に重なるように群生します。食用のヒラタケやシイタケ、ムキタケに形状がよく似ているため、毎年多くの食中毒が発生しています。
ツキヨタケのヒダは、暗闇でぼんやりと黄緑色に発光します。 中毒症状は、おう吐、腹痛、下痢など。イルジンS(ランプテロール)が毒成分です。


カエンタケ(火炎茸)

カエンタケ/毒キノコの毒と生態

夏から秋にかけて、ブナ科の広葉樹林で見られます。「火炎」とはよく名付けたもので、赤い色や形が炎のように見えるキノコです。
毒は強力で、腹痛、おう吐、下痢などをおこします。ひどいときは肝臓や腎臓の組織が壊れ、全身に症状が現れると死ぬことがあります。
手に取るだけで皮膚炎を起こすこともあります。


ヒトヨタケ(一夜茸)

ヒトヨタケ/毒キノコの毒と生態

春から秋にかけて、道端・草地・庭などどこででも見られます。この毒キノコは、単体では中毒を起こしませんが、お酒(アルコール)と一緒に食べるとひどい中毒症状を起こすことで知られています。
ヒトヨタケは、広葉樹の枯れ木や埋もれ木に発生する腐生菌であり、毒成分はコプリンです。コプリンの作用が体内から消えるまで、食後一週間程度は飲酒を控えたほうが良いとされます。酒のみには迷惑なキノコです。


 (画像提供はいずれも「カラパイア」による。後述のその2も同じ)

毒キノコの生態画像・恐怖の毒キノコ10選(その2)

ドクササコ(毒笹子)

ドクササコ/毒キノコの毒と生態

秋に竹やぶ、笹やぶ、雑木林などに発生する毒キノコで、近畿・北陸・東北地方に多く発生します。
食べてから4~5日後に、手足に焼け火ばしを当てられたような激痛があり、その症状が10日~1ヶ月も続くというこわい毒キノコです。4~5日も経って、食べたのを忘れた頃に突然悪夢に襲われるのですからたまりません。
毒成分は、アクロメリン酸A、BおよびCと、クリチジンです。


シャグマアミガサタケ(赭熊網笠茸)

シャグマアミガサタケ/毒キノコの毒と生態

こんな醜いキノコが存在していいのでしょうか? まるで脳ミソのような、まるで寄生虫の集合体のような風貌です。
見るからに危険そうなキノコですが、実際に猛毒の持ち主でもあります。
食べれば、食後7-10時間を経て、吐き気・おう吐・激しい下痢と腹痛、痙攣などをおこします。重症の場合は、肝機能障害、多臓器出血、血圧降下、意識障害があらわれ、呼吸困難・昏睡に陥り2-4日で死に至ります。


ニガクリタケ(苦栗茸)

ニガクリタケ/毒キノコの毒と生態

切り株・朽木などから発生する苦味のある黄色いキノコです。一年中発生します。食用のクリタケに形状が似ていることから、誤食による食中毒が絶えません。
毒性は強く、おう吐や下痢をおこします。脱水や痙攣をおこし死に至ることもあります。
毒成分はファシクロールEおよびFです。調理すると苦味は消えることがありますが、毒性は消えません。


ニセクロハツ(偽黒初)

ニセクロハツ/毒キノコの毒と生態

夏から秋にかけて、シイやカシなどの常緑広葉樹林の地上から発生するベニタケ科の猛毒キノコで、関東以西で多く見られます。
猛毒で致死量は2~3本とも言われています。食用のクロハツと誤って食べて死亡した例があります。
潜伏期間は数分~24時間。嘔吐、下痢など消化器系症状の後、縮瞳、呼吸困難、多臓器不全、血尿を呈し、重篤な場合は心停止し死に至ります。


コレラタケ(虎列剌茸)

コレラタケ/毒キノコの毒と生態

古いおが屑や朽木などから発生するフウセンタケ科の猛毒キノコです。「コレラ」に似た症状を呈し、致命的な毒性を持つことから、社会に対して毒キノコとしての注意を喚起するため、このように改名されました。
中毒症状は、食後6~24時間後に激しい下痢が起こり、1日ほどで一度回復する。その後4~7日後に肝臓、腎臓などの臓器が破壊され、劇症肝炎や腎不全症状を呈し、最悪の場合死に至ります。


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毒キノコの毒成分

アマニチン 猛毒キノコのタマゴテングタケから発見された致命的な毒素。8つのアミノ酸が結合した環状ペプチド。肝臓のRNAポリメラーゼと結合し細胞の膜構造を破壊する。
ファロイジン タマゴテングタケなどの毒成分。環状ペプチド。重合アクチンと特異的に結合し、解離を阻害して肝機能障害を引き起こす。
モノメチルヒドラジン シャグマアミガサタケの成分ギロミトリンが加水分解して生成。肝臓・腎臓・腸・膀胱に障害を起こす。発がん性をもつ。
コプリン ヒトヨタケ、ホテイシメジ、スギタケ、ササクレヒトヨタケ、ウラベニイロガワリなどの毒。キノコを食べる前後にアルコールを摂取した場合にのみ発症する。
ムスカリン アセタケ類とカヤタケ類のキノコに含まれるアルカロイド。末梢の副交感神経系に重篤な刺激作用を生じさせ、痙攣や死に至ることもある。
シロシビン 「マジックマッシュルーム」の名で幻覚剤として出回ったこともある(現在は,麻薬原料植物に指定)。シロシビンが脳内のセロトニン受容体に作用し幻覚を引き起こす。
その他のキノコ毒 種々の毒キノコにイボテン酸、ムスカリジン、クリチジン、イル-ジンS (ランプテロ-ル)、ファシキュロ-ルEとF,ヘベビノサイドI~XI,ギムノピリンA, B、アクロメリン酸A、アクロメリン酸Bなどの毒も存在している。

 ※引用:生化学の基礎(生物毒)

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