貝毒の原因と種類・症状

貝毒とは、渦鞭毛藻など海水中の有毒プランクトンを捕食した牡蠣などの二枚貝が、その毒素を体内に蓄積したものです。貝毒に汚染された貝をヒトが食べると、激しい中毒症状に見舞われ、重篤な場合は死に至ります。貝毒の種類と症状、どんな貝が危険なのかをまとめました。

おいしい牡蠣ですが、貝毒も心配?/貝毒の原因と症状【アウトドア趣味に関する総合情報サイト】
おいしい牡蠣ですが、貝毒も心配?(画像提供:MINERS)

牡蠣(かき)などの貝類を食べて食中毒になるケースが毎年発生します。原因は二つあります。一つは貝毒による食中毒。もう一つはノロウイルスや腸炎ビブリオなどによる食中毒です。ここでは前者の、貝毒による食中毒を採りあげます。

貝毒とは、牡蠣やホタテガイ、アサリなどの二枚貝が、餌として有毒プランクトンを食べることで毒素を蓄積したものです。有毒プランクトンの種類によって麻痺性貝毒や下痢性貝毒などがありますが、いずれも毒性が強く、汚染された貝をヒトが食べると激しい中毒症状に見舞われます。重篤な場合は死に至ることもあります。

貝毒は、ノロウイルスなどと違って、加熱によって毒性が失われることはありません。麻痺性貝毒には有効な治療薬もありません。また貝毒の症状は、食後早い段階(30分程度)で現れることから、致死量以上の貝毒を摂取してしまった場合は、対処のしようもなく死亡してしまうことになりかねません。 貝毒はあなどってはいけない、大変に恐ろしい毒なのです。

貝毒の原因と種類・症状

原因は有毒プランクトン(渦鞭毛藻)

貝毒は、海水中のプランクトンを餌にする二枚貝が、生息海域に発生した渦鞭毛藻(うずべんもうそう)などの有毒プランクトンを食べることで、体内に毒素を蓄えて毒化したものです。

毒化する二枚貝
牡蠣(かき)・ホタテガイ・アサリ・ムラサキイガイ・ウバガイ(ホッキガイ)、赤貝、チョウセンハマグリほか、二枚貝全般。

毒化する肉食性の巻貝
ヒメエゾボラ、エゾボラモドキ、キンシバイほか。(毒化した二枚貝や死魚などを捕食することで、自らも毒化します)

有毒プランクトンは、海水温が上がり始める 4月頃から5月頃にかけて発生することが多いです。そのため都道府県の水産担当部局では、冬の終わりから海水中のプランクトンや貝の検査を行い、毒の量を検査して安全を確かめています。

貝検体の毒性が基準値を超えた場合は、出荷停止の措置が採られます。この措置は、貝自身の代謝により貝毒がなくなったことが検査で確認されれば解除されます。したがって、市場で流通している貝は、まずは安全だと考えていいでしょう。

危険なのは干潟や岩場で自己採集した貝です。自分で貝を獲る場合は、その海域の貝毒に関する情報に十分注意しておく必要があります。

渦鞭毛藻の顕微鏡写真

渦鞭毛藻の顕微鏡写真:麻痺性貝毒原因渦鞭毛藻/貝毒の原因と症状
麻痺性貝毒原因渦鞭毛藻
Alexandrium tamiyavanichii

渦鞭毛藻の顕微鏡写真:下痢性貝毒原因渦鞭毛藻/貝毒の原因と症状
下痢性貝毒原因渦鞭毛藻
Dinophysis fortii
(画像提供:瀬戸内海区水産研究所、2枚)


貝毒の種類と症状

貝毒の原因は、有毒の渦鞭毛藻です。渦鞭毛藻は単細胞藻類の一群(植物プランクトン)であり、その種の違いによって、産生する毒素にはいろいろな種類があります。

貝毒は、世界で5種類ほどあることが知られていますが、そのうち日本でよく発生が見られるものは、麻痺性貝毒と下痢性貝毒の2種類です。

麻痺性貝毒

毒性分:サキシトキシン、テトロドトキシン(フグ毒)、ゴニオトキシンなど。

中毒症状:食後30分以内に発症。唇のまわりがしびれ始め、首から全身に広がっていきます。フグ中毒に類似しており、重症になるとしびれは麻痺になり、運動運動失調、言語障害、呼吸麻痺が起こって死に至ります。

治療法:有効な治療方法はなく、胃洗浄や点滴・人工呼吸などの対症療法のみとなります。ただ、時間とともに毒素が排泄されるため、12時間を越えると回復に向かいます。回復すれば後遺症はありません。日本で最も発生頻度の高い貝毒です。

下痢性貝毒

毒性分:オカダ酸、ディノフィシストキシン、ペクテノトキシン群、イエッソトキシン群など。

中毒症状:食後30分から4時間で発症。消化器系の食中毒症状で、激しい下痢、吐き気、嘔吐などを起こします。発熱がないため、他の食中毒と区別されます。

治療法:胃洗浄や点滴などの対症療法。下痢性貝毒は致命的ではなく、3日以内に症状は回復します。過去に死亡事例はありません。

貝毒の規制値=毒力(毒性)の表示

ある海域で獲れた貝が安全か、市場に流通させても大丈夫かの判断は、農林水産省が制定した「貝毒の規制値」をもとに判定します。

すなわち、二枚貝等の可食部に含まれる毒力又は毒量は、麻痺性貝毒で4MU/g以下、下痢性貝毒で0.16mg オカダ酸当量/kg 以下と定められています。下痢性貝毒については、当分の間、従来のマウス試験法とその規制値(可食部1グラム当たり0.05MU/g)が認められています。

MU(マウスユニット)とは毒量の単位で、体重20グラムのマウスに毒性物質を腹腔投与した際、麻痺性貝毒の場合は15分で、下痢性貝毒の場合は24時間で死亡させる毒の量が1MUと定義されています。

麻痺性貝毒の規制値=4MU/gというのは、貝の身(可食部)1グラムで、体重20グラムのマウスを4匹殺せる毒量だということです。体重80グラムのマウスなら1匹を殺せます。

人の致死量は、体重60キログラムの人で、約3,000~20,000MUだといわれています。仮に4MU/gの麻痺性貝毒を食べるとすれば、貝の身750g~5,000gが致死量ということになります。
まさか一人で一回に750g以上の貝は食べないと思いますが、仮にバーベキューなどで貝ばかりを大食いしたときは危険と背中合わせということにもなり兼ねません。若い方は注意してください。

バーベキューではつつましく、貝は少量だけ食べるのがよさそうです(笑)

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