殺人蟻・ヒアリ(火蟻 ひあり)
恐るべき毒性と生態

ヒアリ(火蟻 ひあり)は南米原産の蟻(アリ)ですが、攻撃性が強く、刺されると激しい痛みが生じ、死に至る危険もあります。殺人蟻ヒアリの特徴と生態についてまとめました。


猛毒を持つヒアリ(火蟻)。刺されると死に至る危険も。
(画像提供:ALEX WILD)

蟻(アリ)は蜂(ハチ)の仲間です。ハチの仲間ですからお尻に毒針を持っているアリもたくさんいます。ヒアリもそんな毒針を持ったアリの一種です。

ヒアリは南米大陸が原産の毒アリですが、貿易の荷物にまぎれて世界に拡散しており、今では北アメリカ大陸やオーストラリア、ニュージーランド、中国、台湾、マレーシアなどに移入して定着しています。米国では人や家畜が刺されて死んだ事例も報告されています。

日本で最初にヒアリが発見されたのは2017年5月、兵庫県尼崎市でした。中国広東省から家電製品を輸入したコンテナのなかに多数のヒアリがいることが分かり大騒ぎになりました。発見されたヒアリは数百匹にのぼり、卵や幼虫、さなぎもいたようです。

そのため、このコンテナが陸揚げされた神戸港を調査したところ、ポートアイランドのコンテナヤード付近で、アスファルトの複数の割れ目からヒアリが100匹ほど発見されました。その後の調査で、大阪港や名古屋港、東京港などでもヒアリが見つかっています。
すでに周辺地域に拡散している可能性もあり、日本全国に移入・定着するのも時間の問題だと思われます。

ヒアリの生態と毒性、刺された場合の対処法などについてまとめました。

猛毒ヒアリの生態と毒性

ヒアリ(火蟻)とは

ヒアリは、ハチ目スズメバチ上科アリ科に分類されるアリで、体の色は赤茶色をしています。体長3~6mmの小型の蟻ですが、攻撃性が非常に強く、お尻には強力な毒針があります。

この毒針で刺されるとやけどのような激しい痛みが生じます。漢字で「火蟻」と表記するのは、火であぶったような激しい痛みを与えるためです。

また、ヒアリの毒はアナフィラキシーショックを引き起こす恐れがあり、手当てが遅れると呼吸困難などで死に至る危険もあります。

「殺人アリ」の異名を持つヒアリ。世界の侵略的外来種ワースト100にも選ばれ、さらに人体に危害を与える恐れがある「特定外来生物」にも指定されるなど、悪評高いアリです。

ヒアリ


(画像提供:アリ研究記)

攻撃性が強く、お尻には強力な毒針があるので要注意です。
ヒアリは日本ではまだ、兵庫県や大阪府、愛知県、東京都などでしか発見されていませんが、ほかの地域で発見されるのも時間の問題でしょう。

ヒアリの巣


(画像提供:東京都環境局)

ヒアリは、公園や農耕地などやや開けた場所にアリ塚(巣)を作る習性があります。日本の在来種でこのように大きな塚を作る種はいません。

昆虫の幼虫を捕食するヒアリ


(画像提供:国立環境研究所)

ヒアリの食性は雑食性で、節足動物のほかトカゲなどの小型爬虫類や小型哺乳類を捕食するほか、樹液、花蜜、種子など何でも食べます。

ヒアリの毒

ヒアリの毒はアルカロイド系の毒(ソレノプシン)です。刺されると非常に激しい痛みを覚え、皮膚が水疱状に腫れあがります。

また、ヒアリの毒にはアレルギー反応を引き起こす特殊なたんぱく質成分が含まれています。そのため、刺された人の体質によっては過剰なアレルギー反応が生じ、アナフィラキシーショックを引き起こして死に至る危険があります。

ヒアリの毒には、ハチの毒との共通成分があり、ハチ毒アレルギーを持つ人は特に注意が必要です。

ヒアリの咬傷被害は、北米だけでも年間で1500件にのぼり、これまでにも累積で100人以上の死者が出ています。牛や豚などの家畜もヒアリに刺されて死亡する事例が相次いでおり、ヒアリ生息地域の住民を恐れさせています。

ヒアリに刺された女性


(画像提供:YouTube ヒアリ)

米国で腕をヒアリに刺された女性。ソファーで休んでいた時にヒアリに襲われたようです。この女性はその後アレルギー症状が現れ、5日後に死亡したとのことです。注入される毒量は少量でもアナフィラキシーショックは侮れません。

重度のアナフィラキシーショックは死に至りますが、軽度のアナフィラキシーでも「めまい、動悸、手の震え、瞳孔の収縮」などが生じます。人によっては容体が急変することもあるので、ヒアリに刺されて体調に異変があれば直ちに医療機関を受診しなければなりません。

ヒアリの毒針


(画像提供:ALEX WILD)

ヒアリのお尻に秘められた強力な毒針です。
ヒアリの毒には、ハチの毒との共通成分があり、ハチ毒アレルギーを持つ人は特に注意が必要です。

ヒアリに刺されたときの症状と対処法

ヒアリに刺されたときの症状

軽度
熱いと感じる激しい痛みとかゆみ。10時間ほどで膿(うみ)が出る。

中度
部分的、または全身にかゆみを伴うじんましんが現れる。

重度
呼吸困難や血圧低下。進行すると意識を失うことも。アナフィラキシーショックの可能性が高く、処置が遅れると生命の危険もある。

ヒアリに刺されたときの対処法

20~30分は安静にして体調の変化に注意する。軽度の症状のみで悪化が見られなければ、ゆっくりと病院を受診しても大丈夫。

容体が急変したら、一番近い病院を受診。「アリに刺された」「アナフィラキシーの可能性がある」と伝え、すぐに治療をしてもらう。

(※神戸新聞による。環境省のHPより作成)

↓↓ タイトルをタップ/クリック(内容表示)

アウトドア趣味に関する総合情報サイト>死ぬほど危険な生き物情報>殺人蟻・ヒアリ(火蟻=ひあり)の毒と生態画像