サキシマハブの生態と毒性
沖縄本島で増殖するサキシマハブ【国内移入種】

サキシマハブは、石垣島などの八重山諸島にのみ生息していた固有種のハブの仲間ですが、近年、沖縄本島南部(糸満市)でも移入種が相次いで発見され問題になっています。サキシマハブとはどんなヘビなのか? サキシマハブとホンハブ(ハブ)との違い、サキシマハブの分布と生態についてまとめました。


沖縄本島で勢力拡大するサキシマハブ
(画像提供:YAHOO キッズ図鑑)

サキシマハブは、石垣島や西表島などの八重山諸島にのみ生息するハブの仲間ですが、近年、沖縄本島南部の糸満市で頻繁に野生のサキシマハブが目撃されるようになり問題になっています。

1976年に糸満市の観光施設から盗まれた約100匹のサキシマハブが近くの山野に投棄され、それが定着して個体数を増やしているものと推定されています。当時は観光客向けに「ハブとマングースの決闘ショー」が人気で、ハブ酒や決闘ショー用にサキシマハブやタイワンハブが多数、沖縄本島に持ち込まれていました。

糸満市では3年ほど前から捕獲器を設置して駆除を始めましたが、サキシマハブの捕獲数は在来種のハブ(ホンハブ)の捕獲数の2倍にも上り、場所によっては8割がサキシマハブで占められることもあるようです。個体数の増加と生息地域の拡大が続いています。

サキシマハブとはどんなヘビなのか? 以下に詳しく観てみましょう。

沖縄本島で増殖するサキシマハブ

サキシマハブとは

サキシマハブはクサリヘビ科ハブ属に分類される毒蛇です。わが国では、沖縄県の石垣島や西表島など八重山諸島にのみ生息する固有種として知られています。

サキシマハブの体長は60-120cm。ハブ(=ホンハブ、体長130~220cm)と比べると一回り小型です。毒性はハブの半分程度と弱く、動きもそれほど俊敏ではありません。夜行性で、日中は岩影や倒木の下などに潜んでいます。

サキシマハブは食性でもハブとの違いがみられます。ハブはネズミが主食なのに対して、サキシマハブはカエルやトカゲなども好んで捕食します。天然記念物のクロイワトカゲモドキなども捕食していることが確認されており、沖縄本島南部の生態系に影響を与える可能性も指摘されています。

サキシマハブとハブとの交雑も進んでいるようで、すでに交雑個体6匹が捕獲されています。

岩陰に潜むサキシマハブ


(画像提供:Groveling things)

夜行性のサキシマハブは、昼間は岩陰や倒木の下などに潜んでいます。サキシマハブは休憩中ですが、こちらで気が付かないで接近しすぎると危険です。

サキシマハブは八重山では最もポピュラーなヘビで、脇道に少しずれるとこんな光景にときおり出会います。

道路に出てきたサキシマハブ


(画像提供:やえやまnavi)

何を間違ったか、白昼堂々と道路を進むサキシマハブ。人家付近にも生息するため注意が必要です。

サキシマハブとハブ(ホンハブ)の違い

サキシマハブの体色は褐色で、背中や側面に暗かっ色の斑紋が観られます。どちらかというとタイワンハブに似た模様をしています。


左:サキシマハブ、右:ハブ

沖縄に生息するハブの種類

沖縄には4種類のハブの仲間が生息しています。ホンハブ(いわゆるハブ)とサキシマハブ、ヒメハブ、タイワンハブの4種です。このうちタイワンハブは海外から移入した外来種、これ以外の3種は沖縄に古くから生息する在来種です。

タイワンハブは、1993年に沖縄本島の北部(沖縄県名護市)で初めて帰化個体が発見されました。サキシマハブと同様に、ハブ酒やマングースの決闘ショー用として海外から持ち込まれた個体が、逃げ出したり不法投棄されたりして繁殖したものと考えられます。

なお、サキシマハブは沖縄県先島諸島に生息する固有種ですが、沖縄本島の南部で繁殖している個体は、国内で人為的に移入された「国内移入種」ということになります。移入先の生物多様性を脅かし、住民に危害を加える恐れが高い生物として駆除の対象になります。

2013年には、本来ハブが生息しない島として知られていた宮古島でも、サキシマハブが発見されて話題になりました。

沖縄本島では現在、ホンハブとヒメハブの在来種のほか、タイワンハブ(外来種)とサキシマハブ(国内移入種)も加わり、4種類のハブがすべて生息していることになります。

沖縄県でのハブの分布


(画像提供:沖縄県)

沖縄県の陸上には22種類のヘビが生息しています。そのほとんどが琉球列島だけに住む貴重なヘビです。そのうち毒ヘビは8種類生息していますが、特に危険なヘビは、ハブ・ヒメハブ・サキシマハブ・タイワンハブの4種類です。

沖縄県でのハブ咬傷被害

沖縄県のハブ咬傷被害者の数はピーク時には年間500名を超えていましたが、市街地の整備が進んだことや農業技術の進歩、ハブの駆除の推進などにより年々被害者の数は減少し、ここ10年ぐらいは100名程度以下で推移しています。

また、ハブ咬傷による死亡者の数も減少の一途をたどり、多い時には年間5~7名いた死亡者が、2000年以降はゼロになっています。血清の整備と医療機関の充実が寄与しているものと思われます。

ただ、ハブの毒は強力な出血毒のために、深くかまれると筋肉や血管が壊死して、たとえ一命を取り留めたとしても手足の切断を伴うなど重篤な被害を被ることもあります。ハブの咬傷事故にあわないように十分な注意が必要です。


(資料提供:沖縄県)

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