日本沿岸の毒クラゲの種類
(恐怖の殺人くらげ・電気くらげ情報)

日本沿岸には30種を超えるクラゲがいます。その中から命に係わる危険なクラゲをピックアップして画像で紹介します。猛毒クラゲ・殺人クラゲにご注意を!


浅海を泳ぐ透明なハブクラゲ。殺人クラゲとして恐れられている。
(画像提供:エコネット・美(ちゅら))

日本の沿岸には30種を超えるクラゲがいます。

刺胞動物であるクラゲは、刺胞という“毒針”を使って餌を捕らえる狩人であることから、人が刺胞に触れると、クラゲの種類によらず毒針に刺される可能性はあります。

ただし、ヒトが死に至るような、あるいは激しい痛みを伴うような刺傷被害を及ぼす危険なクラゲは、ハブクラゲやカツオノエボシなど、わずかに数種類のみです。

ここでは、ヒトに重大な被害を及ぼす危険なクラゲを採りあげ、画像とともに紹介します。

彼らの特徴をしっかりつかまえて、海水浴や海遊びの際の危険回避に役立ててください。

身近に潜むクラゲ

クラゲの種類

日本の沿岸には30種を超えるクラゲがいます。クラゲの中には中国料理店や寿司店などで食用として供されるものや、水族館で展示され「癒し効果」で人気者のクラゲがいますが、多くのクラゲは漁業被害を与えたり、海水浴場などで人間を刺す、嫌われ者のクラゲです。なかには人を死に至らしめる猛毒の刺胞を持つクラゲもいます。

クラゲの種類を、人との係わりという観点からまとめると以下のように区分されます。

  • 死亡リスクが高い危険なクラゲ
    ハブクラゲ、カツオノエボシ、ゴウシュウアンドンクラゲ(オーストラリア近海)
  • 死ぬ危険はないが強い痛みがあるクラゲ
    アンドンクラゲ、アカクラゲ、ヒクラゲ、カギノテクラゲ、ボウズニラ
  • 漁業被害や産業被害を与えるクラゲ
    エチゼンクラゲ(漁網被害)、ミズクラゲ(火力発電所等の取水被害)
  • 水族館で飼育されている人気のクラゲ
    ミズクラゲ(再掲)、アカクラゲ(再掲)、ブルージェリー、パシフィックシーネットル、タコクラゲ、キタミズクラゲ、サムクラゲ、アマクサクラゲ、ほか
  • 食用とされるクラゲ
    エチゼンクラゲ(再掲)、ビゼンクラゲ、ヒゼンクラゲ、ホワイトクラゲ、ほか

死亡リスクが高い危険なクラゲ

俗に「電気クラゲ」とか「殺人クラゲ」と呼ばれているクラゲです。触手には強い毒を持った刺胞があり、刺されると大変危険な事態に陥ります。

ハブクラゲ

沖縄地方で、猛毒ヘビの「ハブ」にたとえて恐れられているクラゲです。沖縄や奄美の暖かい海域に生息しています。ハブクラゲは青みのある透明な体をしているため、水中メガネでもかけない限り、海面からの確認はかなり困難です(冒頭の写真参照)。
ハブクラゲに刺されると、瞬時に激痛がはしり、触手が絡みついた部位にはミミズ腫れや水疱、細胞壊死が生じます。重傷の場合はショック症状を起こし、呼吸困難、心肺停止に陥り死に至ります。
 ※詳しくは、⇒ハブクラゲ

カツオノエボシ


(画像提供:串本海域公園)

カツオノエボシは別名を「電気クラゲ」とも呼ばれ、人が刺されると、全身に電気が走ったと思うほどの激痛が走り、刺された所が赤くミミズばれになります。ショックで死亡した例もあります。
カツオノエボシはクダクラゲ目に属する刺胞動物ですが、厳密にはクラゲではなくヒドロ虫の仲間です。世界中の暖かい海洋に生息し、時には1000個以上の大群になって海面に浮かんでいることがあります。
独立した推進力を持たないので、波に乗って漂うか、気胞体(浮き袋)で風を受けて進みます。岸近くに吹き寄せられたり、海岸に打ち上げられることがよくあります。
 ※詳しくは、⇒カツオノエボシ

死ぬ危険はないが強い痛みがあるクラゲ

死ぬことはないが、刺されると強い痛みがあって不快な思いをさせられるクラゲです。刺されないに越したことはありません。

アンドンクラゲ


(画像提供:キュレータの玉手箱)

カツオノエボシと共に「電気クラゲ」と呼ばれて嫌われているクラゲです。6~9月頃に多く発生し、比較的暖かな浅い海に生息します。
名前の通り行灯(アンドン)を思わせる立方形の傘をもち、その下には4本の鞭状の触手があります。傘の大きさは3~3.5cmで、触手の長さも20cmほどの小型のクラゲです。小型ですが、刺されるとピリピリと痛みます。

アカクラゲ


(画像提供:そらとぶくらげ)

傘は直径20cmほどで放射状の赤い縞模様が16本。触手は長いが、ちぎれやすいです。
刺胞毒を受けると火傷に似た痛みが走り、みみず腫れや水脹れ、時に呼吸困難を引き起こします。
乾燥した刺糸が空中に漂い、これを人が吸うと「くしゃみ」を引き起こすということから、「ハクションクラゲ」とも呼ばれているそうです。

ヒクラゲ


(画像提供:しものせき水族館)

九州から瀬戸内海にかけて(主に瀬戸内海で)、秋から冬にかけてみられます。
アンドンクラゲと同じ仲間で、姿形はそっくりですが、大きさはアンドンクラゲの10倍近くにも成長します。傘はふつう高さ5~8cmの立方形ですが、ときには30cmほどにもなります。
立方体の傘の先から4本の触手が伸びていて、刺胞の毒針に刺されると火傷のようになり、激痛が走ることから、ヒ(火)クラゲと名付けられました。

カギノテクラゲ


(画像提供:ダイバーのための海水魚図鑑)

傘の直径 2cm程度の小さなクラゲです。日本列島全域に分布し、沿岸の海藻類などに付着して餌となる小魚を待ち、強い刺胞毒で捕まえます。
人が刺された場合、患部の痛みはそれほど強くないのですが、刺されて1時間ほどしてから筋肉痛やしびれ、呼吸困難などの全身症状を起こすことがあります。小型で目立たないため、知らないうちに刺されることも多い。注意を要するクラゲです。

ボウズニラ


(画像提供:刺胞動物の仲間たち)

カツオノエボシと同じクダクラゲ目に属する刺胞動物で、浮遊性ヒドロ虫の集合体です。
ロープのような細長い気泡体から、細長い触手がたくさん出ていて、これに触れると激痛が走ります。気泡体の長さは1~2mのものが多く、時には絡まり合って複雑な形状をしています。
ボウズニラの出現時期は3~5月頃。外洋性で沿岸ではあまり見かけませんが、漁業者が網にかかったボウズニラに触れて被害を受けることがあります。

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