スズメバチの生態と危険性
(危険なスズメバチ情報)

スズメバチに刺されて死ぬ人は年間平均で34名。クマによる死亡事故の10倍以上です。スズメバチがいかに危険な生物かがわかります。


殺人蜂として恐れられるスズメバチ
(画像提供:都市のスズメバチ)

秋はハイキングやキノコ狩り、渓流釣りなどアウトドア趣味が盛んな時期です。この時期、自然の山野で最も気をつけなければならない危険な生物のひとつにスズメバチがいます。

先日も栃木県那須烏山市で77歳の女性がスズメバチに刺されて死亡しました。自宅近くの神社の境内で、自生のミョウガを採っていたと推察されていますが、参道から少し分け入った杉林の中で倒れていました。頭を中心に91箇所も刺されていたそうです。近くにはオオスズメバチの巣がありました。

スズメバチは9月中旬~10月中旬にかけて交尾の時期を迎え攻撃的になります。巣があるのに気付かないで不用意に近づくと、スズメバチの大群に集中攻撃されることになります。

スズメバチに刺されて死亡する人は、年間平均で34名もいます。

クマ(熊)も恐ろしい動物ですが、クマの危害で死亡する人は年間10人未満ですので、ある意味ではクマよりもはるかに危険な生物だと言えます

スズメバチとはこんな蜂

スズメバチの種類

スズメバチは民家の近くや畑、公園、野原、山林などで普通に見られる生物です。バーベキューをしたときに飲み残したジュースを飲みに来ることもあるので、アウトドアを楽しむ人なら何度かお目にかかっているはずです。

このスズメバチですが、日本にはスズメバチ属(7種)、クロスズメバチ属(5種)、ホオナガスズメバチ属(4種)の合計3属16種が生息しています。

中でもスズメバチ属のオオスズメバチキイロスズメバチによる人身事故が最も多く発生しています。

オオスズメバチ

オオスズメバチは、名前が示すとおりスズメバチ類の中で最も大型のハチです。女王バチで40~45mm、働きバチでも30~40mmの大きさになります。強烈な毒をもち、かつ攻撃性も非常に高いことから十分な注意が必要です。

巣は倒木や地面などの閉鎖空間に作られます。そのため、巣を発見するのが難しく、気がつかないで巣に接近して襲撃されることが多いようです。

オオスズメバチは縄張り意識が強く、巣の周辺だけでなく樹液がある餌場においても威嚇行動や攻撃を仕掛けてくることがあるので注意が必要です。(画像提供:都市のスズメバチ=下記4枚とも)


  • アブラゼミを狩るオオスズメバチ

  • 地中のオオスズメバチの巣(駆除後)

キイロスズメバチ

キイロスズメバチは比較的小型のハチで、女王バチで25~30mm、働きバチで20~25mm程度です。からだの模様の黄色の部位が広く、全身が黄褐色の長毛で覆われているのでほかのスズメバチと区別できます。

巣は樹洞などの閉鎖的な場所から、木の枝などの開放的な場所、さらには民家の軒下や天井裏、床下など様々な場所に作られます。

オオスズメバチと並んで攻撃性が非常に高く、巣の近くを通っただけで攻撃されるともあります。スズメバチ類の刺傷事故では、このキイロスズメバチによるものが最も多く、この意味では最も危険なハチです。


  • 吸蜜するキイロスズメバチ

  • 軒下に作られたキイロスズメバチの巣

女王バチの巣作り=スズメバチの生態

スズメバチは、ミツバチと同じようにハチの中でも最も社会性を発達させたハチです。大きな巣を作って、共同で巣を守り、子孫を育てます。

秋に交尾して越冬した女王バチは、種類によって多少のズレはありますが、翌春5月上旬頃から営巣を開始します。
最初は女王バチ一匹だけで巣を作り、働きバチ(メス)の卵を産みます。第一世代の働きバチが羽化するのが6月~7月で、それ以降急速に巣を拡大しながら個体数を増やしていきます。

巣の勢力が拡大した8月中旬頃からは、次世代を託すオスバチと少し遅れて新女王バチの卵が産み付けられます。スズメバチにとってはとても大事な時期を迎えます。

産卵から約1ヵ月。オスバチと新女王バチが羽化する9月中旬から10月下旬頃にかけてが、次世代にバトンを渡す繁殖時期になります。

先に羽化したオスバチが巣穴の外で待機して、後から羽化して出てくる新女王バチを待ちます。交尾は巣の外でしますが、無事に仕事を終えた新女王バチは朽木に穴を掘って一匹だけで越冬し、春の営巣に備えます。

一方、オスとしての大役を無事に終えたオスバチと、巣を守りきった働き蜂はすべて死んでしまいます。
スズメバチは新女王バチ一匹だけで越冬して、翌春に新しい生命を繋げるのです。

スズメバチによる死亡事故

スズメバチに刺されて死亡するのは、ほとんどの場合、急激で過剰な免疫反応によって引き起こされる「アレルギー性ショック死」です。専門的には「アナフィラキシーショック」と呼んでいます。

アナフィラキシーショックについて、詳しくは下記ページをご参照ください。
スズメバチに刺されないための対策、スズメバチに刺されたときの処置も記載されています。

 ⇒スズメバチによる死亡事故 | 怖いアナフィラキシーショック

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