ブラウンスネークのすべて

ブラウンスネークはコブラ科の毒蛇で、オーストラリアでは、人を最も多く殺す毒蛇として恐れられています。中でもイースタンブラウンスネークは、あの猛毒インランドタイパンに次いで、世界第二位の強毒の持ち主です。ブラウンスネークの生態と毒性についてまとめました。


イースタンブラウンスネーク。インランドタイパンに次いで世界第二位の猛毒を持つ。
(画像提供:カラパイア)

オーストラリアは、世界でも危険な毒蛇が数多く生息する国として知られています。なかでもブラウンスネークは、民家や裏庭などにも頻繁に出現することから、住民と遭遇する機会も多く、咬傷被害が後を絶ちません。ヘビ毒で死亡する原因のトップがこのブラウンスネークであり、オーストラリアで最も恐れられている毒蛇です。

ブラウンスネークはコブラ科の毒蛇で、オーストラリア全土に広く分布しています。一般には、ブラウンスネーク属の蛇を総称してブラウンスネーク(Brown Snake)と呼んでいますが、この属には次の7種が含まれています。

・イースタンブラウンスネーク(コモンブラウンスネーク)
・ウェスタンブラウンスネーク
・スペックルブラウンスネーク
・ペニンシュラブラウンスネーク
・イングラムブラウンスネーク
・リングブラウンスネーク
・ジュガイト

ブラウンスネークと名前がついた種は他にも、キングブラウンスネークとリトルブラウンスネークがいますが、これら2種はブラウンスネーク属とは異なる属の毒蛇です。

ブラウンスネーク

イースタンブラウンスネーク(コモンブラウンスネーク)

オーストラリア東部に生息するブラウンスネークです。一般には生息地にちなんでイースタンブラウンスネークと呼ばれていますが、コモンブラウンスネークと呼ばれることもあります。


イースタンブラウンスネーク
(画像提供:INDEPENDENT)

俊敏で攻撃的な性格のこのヘビは、体長1.1~1.8m、日本のアオダイショウほどの大きさです。最高で2.4mが記録されています。

イースタンブラウンスネークの武器は、なんといっても強烈に強い神経毒です。「世界最強の毒蛇ランキング トップ50」によると、イースタンブラウンスネークの毒性は、世界最強の毒蛇・インランドタイパンに次いで堂々の世界第二位の強さです。二ホンマムシ毒のじつに550倍の強さがあります。

こんなヘビに咬まれたら、まずは助からないと思っていたほうがよさそうです。

イースタンブラウンスネークは人里に棲むことが多く、特に餌のネズミを追って民家の庭や屋敷周辺でもよく目撃されます。時には家の中にも入ってくるというから恐怖です。

ホッケー選手が毒蛇に咬まれて死亡

フランス通信社AFPが2013年4月30日、衝撃的な事故を伝えていました。オーストラリアで、ホッケー選手が毒蛇に咬まれて死亡しました。


イースタンブラウンスネーク
(画像提供:AFP)

彼は練習場の近くで「茶色いヘビ」を発見。近くで遊んでいた子どもたちから遠ざけるために、その蛇を捕まえて茂みへ放り投げたという。その時に指をかまれました。
彼は無毒の蛇と勘違いしていたようです。練習に戻ったあと倒れて、帰らぬ人となりました。

ウェスタンブラウンスネーク


ウェスタンブラウンスネーク
(画像提供:カラパイア)

東部や南西部をのぞく、オーストラリア全域に生息しています。分布域が広いために、非常にバラエティに富んだ体色のパターンがあります。写真のように頭部が黒色で体が山吹色のもの、全身が褐色のもの、赤銅色、黒色のものなどです。全長は1.6mほどになります。

ウェスタンブラウンスネークは、東部に生息するイースタンブラウンスネークよりも穏やかですが、それでも気性は荒いほうで、追いつめられると、激しく威嚇しながら向かってきます。動きはとても俊敏です。

ウェスタンブラウンスネークの毒性は、先の「世界最強の毒蛇ランキング トップ50」によると世界第32位。イースタンブラウンスネークよりも毒性が弱いとはいえ、二ホンマムシの42倍。インドラッセルクサリヘビやキングコブラよりも強い毒を持っています。

オーストラリアのあらゆる環境に適応しており、乾燥した砂漠のような場所から、多湿の熱帯雨林、人家の近くなどでもよく見られます。ヒトとの接触の機会が多いだけに危険な蛇です。

キングブラウンスネーク


ウェスタンブラウンスネーク
(画像提供:カラパイア)

キングブラウンスネークは、オーストラリアでウェスタンブラウンスネークと並んで分布域が広く、多様な環境に適応している毒蛇です。

コブラ科の蛇ですが、ブラウンスネーク属とは異なるPseudechis属に属しています。どちらかといえばブラックスネークに近い仲間です。別名をマルガスネークとも言います。

キングブラウンスネーク(別名:マルガスネーク)の何が「キング」かというと、その大きさです。全長が最大2.75mにもなる大型種で、あごの毒腺には大量の毒液を蓄えています。

毒性は、先述したブラウンスネークに比べるとやや弱いですが、ひとたび咬みつくと大量の毒液を注入し、しかも動きが俊敏なことから、オーストラリアでも非常に危険な蛇の一つです。

南部に生息するキングブラウンスネークよりも、北部に生息する個体のほうが気性が荒く、追いつめられると身体をS字状に持ち上げ、左右にゆすりながら「シュー」という威嚇の音を出します。

↓↓ タイトルをタップ/クリック(内容表示)

アウトドア趣味に関する総合情報サイト>死ぬほど危険な生き物情報>ブラウンスネークのすべて