日本の毒蜘蛛(毒グモ)
【カバキコマチグモ/セアカゴケグモ】

カバキコマチグモとセアカゴケグモ。日本の毒蜘蛛(毒グモ)についてまとめました。アウトドア趣味での「毒グモ」にご注意を!


タランチュラ。有名な毒蜘蛛だが毒性は意外と低い
(画像提供:Aviculo-Mania)

クモに限らず、生きた獲物を捕食して餌にしている生物には毒を持っているものが多くいます。毒ヘビやアンボイナガイ(毒貝)、スズメバチ(毒バチ)などがその代表です。

クモも例外ではありません。とりわけ、巣を作らずに徘徊して獲物を捕まえる「徘徊性の蜘蛛」には強い毒を持ったものがいます。ここに紹介する毒グモもその一種です。

日本には古来より、人を死に至らしめるような毒蜘蛛(毒グモ)はいないとされてきました。ただ「カバキコマチグモ」と「セアカゴケグモ」だけは別格で、この二種類は毒性が極めて高く、猛毒を持った毒蜘蛛です。

毒蜘蛛にひとたび咬まれると激しい痛みに襲われ、指をかまれても肘まで腫れることもあるようです。

重篤な場合は頭痛、発熱、嘔吐、ショック症状を呈することもあり、死に至ることもあります。海外ではヒトの死亡事故も報告されています。小さな毒蜘蛛ですが侮ってはいけません。

ここでは日本に生息する、猛毒をもった毒蜘蛛について整理してみましょう。

マムシより強い毒性を持つ毒蜘蛛

カバキコマチグモ(日本の毒蜘蛛=在来種)

カバキコマチグモは、沖縄県を除く日本全国に広く分布する毒蜘蛛で、猛毒を持っていることで知られています。幼体の時期は丈の低い草むらに生息しますが、成体になるにつれてイネ科植物に移動し、その葉を巻いて交接・産卵用の部屋を作ります。

平地や山地を問わず、草原、河原、水田、林縁など、日本中のいたるところで普通に生息する毒蜘蛛です。

「猛毒動物最恐50」(今泉忠明著、サイエンス・アイ新書)によると、カバキコマチグモの半数致死量(LD50)は0.005mg/kgとされ、その毒性は世界最強の毒ヘビとされるインランドタイパン(LD50=0.025mg/kg)の5倍、ハブクラゲ(LD50=0.008mg/kg)に次いで猛毒ランキングの第6位にランク付けされています。

幸いにも、カバキコマチグモは牙が小さく、注入される毒量も少ないことから人間が死亡した事例は見当たりませんが、咬まれると厄介な状態に陥ることがあります。アウトドア趣味では十分注意しなければなりません。

カバキコマチグモ


(画像提供:いろいろな虫たち)

カバキコマチグモはフクログモの仲間で、イネ科植物の葉っぱを丸めて巣を作ります。
ちなみに、カバキコマチグモの「カバキ(樺黄)」とは、茶色がかった黄色(茶黄色)という意味です。コマチは小野小町からきています。
小野小町のように美しい黄色いクモということでしょうか。いかにも日本的な美しい名前ですが、実際には猛毒の持ち主=毒蜘蛛です。

カバキコマチグモの巣の内部


(画像提供:クモの拡大画像)

カバキコマチグモの巣の中をそっと開けると、中ではメスが卵(卵のう)を守っていました。
毒蜘蛛に似合わず?、カバキコマチグモのメスは強烈な母性愛の持ち主です。卵が無事に孵化して最初の脱皮を迎えるまで、懸命に外敵から彼らを守り続けます。
こんな時期に不用心に巣を開いたりすると、気が荒くなっているメスグモに攻撃され、手をかまれることがあります。

セアカゴケグモ(日本の毒蜘蛛=外来種)

セアカゴケグモはオーストラリアなどに生息する毒蜘蛛ですが、1995年11月に、日本で初めて大阪府高石市で発見。その後兵庫県神戸市西区などの港湾都市でも相次いで発見されました。
船舶などによる輸入品に紛れ込んで入国したものと思われます。

今では、分布エリアを内陸部にまで広げ、群馬県から沖縄県にいたる広い範囲の府県で生息が確認されています。

セアカゴケグモの毒性は強く、先の「猛毒動物最恐50」(今泉忠明著、サイエンス・アイ新書)によると、半数致死量(LD50)は皮下注射で0.9mg/kgとされています。オーストラリアでは人の死亡例もあります。

セアカゴケグモのメスとオス


(画像提供:OPENCAGE)

セアカゴケグモのメスの体長は10~15mm程度。胸腹部の背面(背中)に「赤のひし形が2つ縦に並んだようなマーク」があるのが特徴です。腹面(お腹)には「赤の砂時計状のマーク」があります。
ちなみにオスは体長3~5mm程度とメスよりずっと小型で、体も細く、メスのような目立つ赤斑は持っていません。毒はメスだけにあり、オスには毒はありません。

セアカゴケグモの生息場所


(画像提供:Seesaa BLOG)

セアカゴケグモは道路の側溝や蓋の裏側、建物の隙間、公園のベンチの下、植え込みの根本付近などに生息しています。
画像はセアカゴケグモの卵ですが、日本でもしっかり繁殖して、分布エリアを広げつつあります。

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