ラッセルクサリヘビの毒と毒性
恐怖の出血毒の秘密

ラッセルクサリヘビは、「インド四大毒蛇」のひとつとして恐れられている猛毒をもった毒蛇です。恐怖の出血毒の秘密を探ります。


草原に潜むラッセルクサリヘビ
(画像提供:image navi)

ラッセルクサリヘビは、インドコブラ、アマガサヘビおよびカーペットバイパーと並んで「インド四大毒蛇」として恐れられている猛毒をもった毒蛇です。

英語名は「Russell Chain Viper」。その名の通りマムシ(クサリヘビ科)の近縁にあたり、毒は基本的に出血毒です。

この出血毒はただでさえ強力ですが、ラッセルクサリヘビの恐ろしいところは、強力な神経毒も併せ持っている点です。
つまり出血毒と神経毒とのカクテルなのです。この強力なカクテルが、咬んだ獲物を確実に死へと導きます。

ラッセルクサリヘビは草原などの開けた土地を好み、餌のネズミを追って人家近くや農地にも入り込みます。そのため人との関わりが多く、咬まれる被害も数多く発生しています。

インド四大毒蛇/ラッセルクサリヘビ

ラッセルクサリヘビとは


(画像提供:カラパイア)

ラッセルクサリヘビは、マムシやハブなどと同じクサリヘビ科の毒蛇で、ラッセルクサリヘビ属に分類される蛇です。インド大陸を中心にして、パキスタンやスリランカ、東南アジア、中国南部、台湾などに生息しています。

ラッセルクサリヘビの全長は平均で1.2m、最大で1.7mほどです。体色は褐色~黄褐色で、胴体には暗色の鎖状の斑紋があります。この鎖状の斑紋から「Russell Chain Viper」と呼ばれています。

ラッセルクサリヘビは基本的に夜行性ですが、涼しい場合には日中でも活動することがあります。危険を感じると体を膨らませて、噴気音をあげて威嚇します。

ラッセルクサリヘビの毒

ラッセルクサリヘビの毒は出血毒が主体ですが、ほかにも強力な神経毒の成分も含まれています。その毒は致命的で、たとえ一命が助かったとしても深刻な後遺症が残る場合が多く、咬まれた手足の切断につながることも少なくありません。

世界の毒蛇の毒の強さを、半数致死量(LD50)で比較してランキングした結果が「世界最強の毒蛇ランキング トップ50」にまとめられています。その結果によると、ラッセルクサリヘビの毒性は世界で第39位。コブラ科の毒蛇が上位を占めているためにラッセルクサリヘビの順位が低くランク付けされていますが、人との接触の危険性や咬まれたときの悲惨さは、世界の毒蛇の中でも第一級です。

毒の効果の実験で、容器に入れた人間の血液にラッセルクサリヘビの毒を1滴加えただけで血液がゼリーのように凝固するという衝撃動画があります。この血液凝固作用も出血毒の特徴のひとつです。

血液が凝固するのに出血する? 何とも不思議な現象ですが、その理由は次の節で述べることにしましょう。

出血毒の秘密

出血毒は、毒性学では血液毒の範疇に含まれるものですが、ヘビ毒の場合は血液凝固、溶血、筋肉毒などを含めて、総称として「出血毒」という呼び方が定着しています。

出血毒は、血液のプロトロンビン(血液凝固の第2因子)を活性化させ、血管内に微小な凝固を発生させます。その際に凝固因子を消費するため、逆に血液が止まらなくなります。さらに、血管壁や筋肉の細胞を破壊することで出血させます。
血圧降下、体内出血、腎機能障害、多臓器不全を引き起こし、重篤な場合は死に至ります。特に腎臓では微小血栓により急性腎皮質壊死を起すという。

出血毒は神経毒に比べて致死率は低いのですが、血管や筋肉の細胞を破壊するために激しく痛み、また筋肉壊死を引き起こすため、たとえ一命を取り留めたとしても、手足切断や高度の後遺症が残るなど、悲惨な結果を迎えることが多くあります。

ラッセルクサリヘビの生態画像

乾いた大地で休むラッセルクサリヘビ


(画像提供:Nap.st)

ラッセルクサリヘビは草原などの開けた土地を好み、餌のネズミを追って人家近くや農地にも入り込みます。

幼蛇を守るラッセルクサリヘビ


(画像提供:amana images)

ラッセルクサリヘビの繁殖形態は、マムシと同様に卵胎生で、1回に20~63匹の幼蛇を産みます。

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