日本の蜘蛛の種類
(身近に棲むクモの種類とクモの話)

日本に生息する蜘蛛の種類はおよそ1,200種。いずれの蜘蛛も大顎に毒腺があり、獲物に噛み付いて毒を注入することで動きを封じて補食します。蜘蛛の世界を覗いてみましょう!


コガネグモ。攻撃性が強く、伝統行事の「くも相撲=クモ合戦」に使用される。
(画像提供:Wikipedia)

蜘蛛(クモ)の仲間は、日本国内には57科・約1,200種が知られています。種類も多く、蜘蛛は家の中や家の周囲、公園、道端、野原、山林など陸地のあらゆる場所に棲んでいます。
蜘蛛は網を張って獲物を待ち構えていると思われがちですが、実際には半分の種は網を張らないで獲物を狩ります。

いずれの蜘蛛も大顎に毒腺があり、獲物に噛み付いて毒を注入することで動きを封じて補食します。 蜘蛛の毒は昆虫や小動物を死に至らしめる程度の毒性ですが、なかには人間に害を及ぼすほどの強い毒をもつ蜘蛛もいます。特徴をよく覚えておいてください。

※蜘蛛はその生態から、網を張る「造網性の蜘蛛」と、歩き回って獲物を捕食する「徘徊性の蜘蛛」、地下の巣穴で獲物を待ち伏せる「地中性の蜘蛛」に大別されます。ここではそれらの代表種を紹介します。

日本に生息する蜘蛛

猛毒がある蜘蛛~人間に危害を与える恐れがあります

カバキコマチグモ(樺黄小町蜘蛛)


(画像提供:いろいろな虫たち)

フクログモの仲間で、イネ科植物の葉っぱを丸めて巣を作ります。沖縄県を除く日本全国に広く分布する毒グモで、猛毒を持っていることで知られています。「カバキ(樺黄)」とは、茶色がかった黄色(茶黄色)という意味です。

カバキコマチグモの半数致死量(LD50)は0.005mg/kgとされ、その毒性は世界最強の毒ヘビとされるインランドタイパン(LD50=0.025mg/kg)の5倍、ハブクラゲに次いで世界猛毒生物ランキングの第6位にランク付けされています。

※詳しくは ⇒ カバキコマチグモ

セアカゴケグモ(背赤後家蜘蛛)


(画像提供:OPENCAGE)

外来種。オーストラリアなどに生息する毒グモですが、1995年11月に、日本で初めて大阪府高石市で発見。今では分布エリアを広げ、群馬県から沖縄県にいたる広い範囲の府県で生息が確認されています。道路の側溝や公園のベンチ下、植木鉢の下などに棲む。
セアカゴケグモの毒性は半数致死量(LD50)で0.9mg/kgとされています。オーストラリアでは人の死亡例もあります。アナフィラキシーショックによるものと思われます。

※詳しくは ⇒ セアカゴケグモ

造網性の蜘蛛~網を張って獲物を捕獲します。

ジョロウグモ(女郎蜘蛛)


(画像提供:昆虫エクスプローラ)

大型の造網性のクモで、日本では北海道を除く本州、四国、九州と南西諸島(沖縄本島北部)に生息する。コガネグモと混同されることが多いが、系統的にはやや遠いとされる。
金色に輝くあでやかな肢体から、花魁(おいらん)の「女郎(じょろう)」または大奥の最高位女中「上臈(じょうろう)」が名前の由来になったといわれています。

高知県四万十市では伝統行事「全日本女郎ぐも相撲大会」が毎年開催されますが、ここで使われる蜘蛛はコガネグモであり、本種とは異なります。

クサグモ(草蜘蛛)


(画像提供:中部蜘蛛懇談会)

公園の木や庭木、生け垣などにもっとも普通に見られる身近な蜘蛛です。北海道から九州までの各地に分布。雄雌共に体長は15mm程度で、蜘蛛としてはやや大柄に区分されます。
木の枝に皿状の水平な棚網を造ります。生け垣などに白くなるほどの蜘蛛の巣が張られている場合、クサグモの巣である可能性が高いです。

棚網の一部にはトンネル(巣穴)があり、クサグモは通常、トンネルの入り口で獲物がかかるのを待ち構えています。獲物がかかると素早く駆け寄り、大きい虫の場合は周囲を回りながら糸を掛け、動きを封じてから噛み付きます。

徘徊性の蜘蛛~歩き回って獲物を捕食します

アシダカグモ(脚高蜘蛛)


(画像提供:G.K Walker)

外来種。人家に棲息する超大型のクモとしてよく知られています。体長は雌で20-30mm、足まで入れた全長は100mm~130mmにもなり、国内最大級の蜘蛛です。
日本では福島県以南の本州・四国・九州地方に分布しています。

アシダカグモは夜行性で薄暗い所を好みます。昼間は隙間などに隠れていて、夜になると壁などに出てきます。

アシダカグモはゴキブリを捕食してくれることから人間にとっては益虫ですが、姿が不気味で、巨大なことから、不快害虫として恐れられています。

ハエトリグモ(蠅捕蜘蛛)


(画像提供:Wikipedia)

ハエトリグモ科に属するクモ類の総称。その名の通りハエ類を含む小型の虫を主食とする益虫ですが、種によってはクモやアリを捕食するのものもいます。
ハエトリグモは正面に2個の大きな目があり、とても特徴的です。非常に多くの種類があり、いずれも比較的小型で、足は太くて短いが、よく走り回りジャンプも得意です。
都市部や人家にもよく適応していて、日常の中でよく見かける蜘蛛です。

人家の中でよく見られるのはアダンソンハエトリ(写真上)とチャスジハエトリです。家の外壁にはシラヒゲハエトリが多くいます。

地中性の蜘蛛~地下の巣穴で獲物を待ち伏せします

ジグモ(地蜘蛛)


(画像提供:採集記)

日本各地で、人家の庭先にも普通に生息している身近な蜘蛛です。近縁のトタテグモ類と同様、地下に穴を掘って袋状の巣を造り、獲物を待ち伏せします。
ジグモの体色は黒色で、鋏角が大きく発達していてほとんど頭胸部と同じくらいの長さがあります。

袋状の巣は、人家の外壁や木の根に沿ってそのまま地上部に延長されていて、餌となる小型甲虫やダンゴムシ、ワラジムシなどが地上の巣袋に触れると、ジグモは巣の内部から袋越しに長大な鋏角で獲物に咬みつき、袋を破れるままに巣内に引きずり込んで捕食します。

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