貝の種類
日本の貝・食べられる貝
日本の貝の種類:私たちが普段体験する潮干狩りや潮だまりの貝、浅い海に生息する貝を中心にして、食べておいしい・食べられる貝を紹介します。マツバガイやバテイラ(シッタカ)などおいしい貝がいっぱい。
岩礁で生きるサザエ/日本の貝・食べられる貝
(画像提供:CAFY)
軟体動物門の中で、貝殻を持つものを貝類と呼びます。貝がらを持たないウミウシ・ナメクジ・イカ・タコも同じ軟体動物であり、貝の仲間です。日本には陸産を含め約9000種の貝類が生息していますが、そのうち海産・水産の貝類は6000種ほどです。
これらの貝類は、その形状により、二枚貝(斧足綱)と巻貝(腹足綱)に大別されます。また貝殻が複数にわかれたヒザラガイ(多板綱)や、水牛の角のような形状をしたツノガイ(掘足綱)など特殊な形状をした貝もいます。
■二枚貝
アカガイ、ホタテガイ、アサリ、ハマグリ、トリガイ、ビノスガイ、ミルクイ、ムラサキイガイ、イソシジミ、マガキ、イワガキ、マテガイ、シオフキ、タイラギ、タマキガイ、ツキヒガイ、ナミガイ、バカガイ、ヒオウギガイ、ウバガイ、エゾキンチャクガイ、ほか
■巻貝
アワビ、サザエ、トコブシ、エゾバイ、エゾボラ、バテイラ(シッタカ)、アカニシ、レイシガイ、イボキサゴ、イヨスダレ、ウズイチモンジ、エッチュウバイ、カガバイ、コタマガイ、ツバイ、ツメタガイ、ナガニシ、ヒモマキバイ、マツバガイ、ヤコウガイ、ほか
ここでは、私たちが普段体験する潮干狩りや潮だまりの貝、浅い海に生息する貝を中心にして、食べておいしい・食べられる貝を紹介します。
日本の貝
磯の潮だまりの貝
満潮時には海面下に没するが、干潮になると姿を現す磯の岩場を潮間帯(ちょうかんたい)といいます。潮間帯は貝類の宝庫で、潮だまりや岩の窪みには小さな貝がたくさんいます。イシダタミガイ、イボニシ、マツバガイ、ヒザラガイなどなど。これらの貝は全部食べることができます。
潮間帯の貝は漁師さんたちは一般に獲りませんので、少量なら家に持ち帰っても問題ないでしょう。塩茹でにするとビールのつまみになります。ほんのりと磯の香りがする珍味です。
- イシダタミガイ
- 名前が示すように、貝殻の表面にレンガを敷き詰めたような石畳模様があります。殻高が2cm程度の小さな巻貝ですが、食べるとおいしい貝です。
干潮の時には岩の割れ目やくぼ地、石の下などにたくさん群れています。潮が満ちてくると真っ先に動き出し、波打ち際を動き回ります。動く速度はビックリするくらい速い。
- イボニシ
- 潮間帯の岩場でも少し波のしぶきがかかるような岩を好んで生息しています。塩茹ですると少し苦味がある独特の味がします。私はこの味が大好きです。
イボニシは肉食性の貝で、体の中に蓄えた酸を使って他の貝に穴を開けて肉を食べます。養殖のカキなどを襲う有害種の貝として漁業者には嫌われています。食べた時の苦味はこの酸のせいだそうです。
- イソニナ
- 塩茹でするとヌルヌルした食感があります。意外とおいしくて、わが家では人気の貝です。
潮間帯の岩の割れ目や窪地などに普通に見られる細長い巻貝です。多くは群生しています。
食性は雑食性とのことですが、潮溜まりで魚の切り身などを与えると、たくさん寄り集まって採餌するのが観察できます。
- マツバガイ
- どこの磯でも普通に見つけることができます。獲る時はマイナスドライバーなどを使って岩から剥がします。素早くやらないと岩にきつく吸い付いて、獲りにくくなります。
マツバガイは、塩茹ですると身が小さく縮んで、殻から自然に外れます。あまり茹ですぎると身が小さく・固くなりますので、茹ですぎないように、身が殻から外れるとすぐにお湯から取り出します。
- ウノアシ
- マツバガイと同じように岩に張り付いています。ウノアシとは「鵜の足」からきた名前で、水かきが付いた鳥の足にそっくりな形をしています。
私はこの貝を食べたことがありませんが、地域によってはこの貝を塩ゆでしたり、みそ汁の具にして食べているようです。
- ヒザラガイ
- 体の周囲がコケ状の黒いヒゲで覆われて、少しグロテスクな形をしています。貝殻は7~8枚の小片に分割されていて、岩から剥がすとダンゴ虫のように丸くなります。
私はこの貝は獲りませんが、父は獲っていました。だから小さい頃に何度か食べたことがあります。一旦ゆでたあと殻とヒゲを手でそぎ落とし、甘辛く煮付けて食べました。歯ごたえのある食感で、とてもおいしかった記憶があります。
- カメノテ
- 正確にいうと貝ではなく、エビやカニなどと同じ甲殻類に属します。フジツボの仲間です。
潮間帯の岩の割れ目に群生しているので、マイナスドライバーなどで大きいものだけを採取します。
エビやカニの同類だけあって味はピカイチです。塩茹でして、袋状の柄の中にある肉を食べます。脂肪質の、コクのある独特の旨さです。
浅い岩礁にいる貝
潮間帯より下側の、常時海中に没した岩場にいる貝です。ここにもたくさんの種類の貝がいます。
- クボガイ
-
磯の小型の巻き貝としては代表的なもののひとつです。小磯で水中眼鏡をかけて泳いでいると、胸くらい深さのごろた石や岩礁の上にたくさん見つけられます。
海藻類を餌にしていて、塩ゆでにすると結構いける味です。関東地方では、しょうゆであっさり味に煮付けて、居酒屋などで「お通し(突き出し)」として出されることがあります。
- バテイラ(シッタカ)
- クボガイの仲間ですが、クボガイよりも大型で、殻高50mmほどになります。貝殻は正円錐形をしていて、殻頂(おしり)が高くとがった形をしています。通称名:シッタカ貝(尻高貝)の名前の由来になっています。
市場にときおり出回ることがあり購入もできます。身はやや甘みがあり、貝類の中では一番おいしいともいわれています。
- サザエ
- 貝料理の定番。サザエといえば子供でもよく知っていて、巻貝の中では一番有名な貝かもしれません。つぼ焼きや刺身がオーソドックスな調理法ですが、小粒な貝だと、だし汁で煮て食べることもあります。
サザエは荒海の岩礁にしかいないと思われていますが、そんなことはありません。ふだん磯遊びする周辺の、少し水深のある岩礁地帯ならどこにでもいます。
- トコブシ
- アワビと同じミミガイ科の藻食性の巻貝です。外見上はアワビとそっくりですが、殻長7cm程度とやや小柄です。トコブシも高級食材ですが、一般には甘く煮て食べることが多いようです。
トコブシは、昼間はごろた石の下側(裏側)に隠れています。そのため、石を丁寧に裏返していると見つけることができます。そんなに深くないところでも容易に見つかります。
- マガキガイ
- 房総半島以南の、黒潮が流れる暖かい海域に生息しています。岩礁~岩礫域~砂地の多様な環境に適応しており、干潮時の比較的浅い磯や砂地でよく見られます。
ただ、この貝は猛毒のイモガイにそっくりなため、海で「里芋」様の貝を見つけても、素人は獲らないのが無難です。
マガキガイは大変おいしい貝で、高知県ではチャンバラ貝とも呼ばれ、料理店で日常的に食べられるメジャーな食材です。
砂地にいる貝
潮干狩りで採れる貝や、砂泥地に生息する代表的な貝です。アサリ・オキアサリ・コタマガイ・カガミガイ・シオフキ・バカガイ・ハマグリ・ホンビノスガイ・マテガイ・赤貝・コナガニシなど、ここにも多くの貝がいます。
- アサリ
-
潮干狩りで獲れる代表的な二枚貝です。酒蒸しやみそ汁、スパゲティ料理など幅広い料理に利用され、国民的な人気があります。
東京湾での潮干狩りは、千葉県の富津海岸や木更津海岸、金田海岸、ふなばし三番瀬海浜公園などが有名です。当たり前ですが、みんな有料です。
ただ、横浜海の公園(神奈川県)だけは、無料で、天然アサリの潮干狩りが楽しめます。
- カガミガイ
-
潮干狩りをしていてアサリと一緒にとれる、白くて丸い、大型のきれいな二枚貝です。大きな貝なので、見つかるとうれしくなります。
カガミガイの名前は、昔の手鏡(てかがみ)に似ていることが由来です。美しい貝ですが、残念ながら味はそんなにおいしい貝ではありません。バター焼きや酢の物など、少し味付けをしてやるとおいしくいただけます。
- マテガイ
-
マテガイは泥地に深い縦穴を作って、その中に棲んでいます。熊手で掘ってもなかなか獲れませんが、マテガイ特有の秘伝の技をマスターすれば、簡単に、面白いように獲れます。
潮が引いた干潟で小さな穴を探します。マテガイの巣穴です。スコップか金属ヘラで表面を薄く剥がすと穴が確認しやすくなります。その穴に家庭用の食塩を振りかけると、マテガイがいると飛び出してきます。そこを手で素早く捕まえます。
- ハマグリ
-
ハマグリは味がよくて、大型で、身も多く詰まっていてプリプリした食感がたまりません。二枚貝の王様といったところでしょうか。内湾でとれる代表的な貝です。
近年は、内湾の埋め立てや乱獲などにより個体数が激減しており、国内産ホンハマグリは、有明海など一部地域での産出に限られています。千葉県産のハマグリは、外洋性のチョウセンハマグリを移入したものです。
- ホンビノスガイ
- アメリカ東海岸~カナダにかけて分布する大型の二枚貝です。日本では、1998年に東京湾の幕張人工海浜で初めて発見されました。現在、東京湾と大阪湾で繁殖が確認されている外来種です。
ホンビノスガイは食味が良く、ハマグリと同様に焼き貝や酒蒸しなどで食されます。減少したハマグリの代替品として期待されており、東京湾の三番瀬では商業用に本格的に漁獲されています。
- ダンベイキサゴ
- 正式名称のダンベイキサゴより、通称名「ナガラミ」または「ナガラメ」のほうが通りがいいかもしれません。関東以南から九州にかけての、外洋に面した砂浜に生息しています。
分布域では九十九里浜・相模湾・駿河湾・浜名湖など各地で食用に漁獲され、市場にも流通しています。とてもおいしい貝で、塩ゆでや煮貝にして酒肴や副菜などで食されています。
- コナガニシ
- 日本海の底曳き網漁で獲れる巻貝で、島根県や鳥取県が主な産地です。コナガニシは刺身が超絶品で、甘みと旨みが強く、刺身にして初めてその真価がわかるとさえ言われています。
産地によってアカベ、アカニシ、アカベイなどと呼ばれています。全国的にはあまり流通していませんが、広島県では「夜泣き貝」の名前で特に人気があります。
↓↓ タイトルをタップ/クリック(内容表示)