シガテラとは? シガテラ毒とは?
猛毒シガトキシンが引き起こす食中毒

シガテラ(シガテラ中毒)とは、熱帯・亜熱帯の珊瑚礁の周辺に生息する魚によって起こる食中毒です。温暖化の影響で、最近は日本各地の魚がシガテラ毒に汚染されつつあります。シガテラ毒とは何なのか。どんな魚が危険なのか。シガテラの原因と症状についてまとめました。


サンゴ礁を泳ぐバラハタの成魚。シガテラ毒を持つことがあり危険です。
(画像提供:Sea creator weblog)

2016年4月12日朝、東京築地市場でちょっとした事件が発生しました。食中毒を引き起こす恐れがあるとして、東京都が販売自粛を求めている有毒魚「バラハタ」1尾が、仲卸店から販売されてしまったのです。

バラハタは、猛毒のシガテラ毒を保有する可能性が高く、食べると食中毒を起こして関節痛や頭痛、めまいなどの症状が出ることがあります。わが国ではシガテラによる死亡例はありませんが、海外では何度か死亡事故が発生しています。

幸いにも今回の事件では健康被害の報告はありませんでした。ただ、魚のプロたる市場関係者が、危険な魚を見抜けずに流通させてしまったことは大問題でした。

魚を毒化させてしまう「シガテラ毒」とは、いったい何なのでしょうか。どんな魚がシガテラ毒を持っているのでしょうか? 詳しく観てみることにしましょう。

シガテラの原因と症状

シガテラ毒とは

シガテラ(ciguatera)とは、熱帯・亜熱帯の海洋に生息するプランクトンが産生する毒素に汚染された魚介類を、人が摂取することで発生する食中毒です。

シガテラを引き起こす毒素はシガテラ毒と呼ばれます。代表的なシガテラ毒は「シガトキシン」ですが、ほかにもスカリトキシン、マイトトキシン、シガテリンなど20種以上が確認されています。

これらのシガテラ毒はいずれも猛毒で知られ、マウスの半数致死量LD50による毒性比較では、フグ毒テトロドトキシン(LD50=0.01mg/kg)に対して、シガトキシン(LD50=0.00035mg/kg)は約29倍の強さです。マイトトキシン(LD50=0.00017mg/kg)に至ってはさらに強力で59倍の強さになります。

幸いにも魚1尾に含まれる毒の漁が微量なため人が死亡することはほとんどありませんが、大変危険な毒であることに変わりはありません。

シガテラ毒は魚の内臓だけでなく、筋肉にも蓄積されます。また、シガテラ毒は熱に対して安定であるため、一般的な調理では毒素を熱分解することはできません。

半数致死量(LD50)とは、実験動物に毒を投与したとき、その半数が死亡する体重1kgあたりの用量(mg)をいいます。この値が小さいほど毒性が強いことを意味します。

シガテラ毒の原因プランクトン

シガテラ毒は、植物プランクトンの一種である渦鞭毛藻(うずべんもうそう)によって産生されます。特に熱帯・亜熱帯の海域に生息する渦鞭毛藻は、種によっては毒素を産生する能力を持っていて、シガトキシン、スカリトキシン、マイトトキシン、シガテリンなど多様な毒素を産生します。

この有毒渦鞭毛藻は、海中に漂ったり海藻に付着している間に餌として小魚に食べられます。さらに小魚がより大きな魚に食べられる食物連鎖により、私たちが食用とする大きな魚の体内に毒素が蓄積されていくのです。

有毒渦鞭毛藻はサンゴ礁などの暖かい海域に生息しています。したがってシガテラ毒に汚染された魚も、カリブ海、インド洋、太平洋などの熱帯域、日本では主に沖縄地方で見られていました。

ところが最近は、海水温の上昇とともに分布域が北上していて、九州・四国はもとより本州の房総半島以南にまで拡大しています。釣りなどでは十分な注意が必要です。

シガテラの症状

シガテラ毒は、ナトリウムチャンネルに特異的に作用する神経毒です。一般には経口摂取後1~8時間ほどで発症しますが、場合によっては2日以上たってから発症した例もあります。

主要な症状は神経系の症状で、不整脈、血圧低下、徐脈、めまい、頭痛や筋肉の痛み、麻痺、感覚異常などが起こります。特にシガテラ中毒に特徴的に生じる障害が、温度感覚異常(ドライアイスセンセーション)です。冷たさに対する感覚が異常に亢進し、 普通の水が極端に冷たく感じられたり、暖かいものが冷たく感じられるなどの知覚異常に陥ります。

これらの症状に加えて、嘔吐、下痢、腹痛などの消化器系症状が併発されます。日本国内で死亡例はありませんが、海外では数例が報告されています。

シガテラ中毒に対する効果的な治療法は確立されていません。神経系にダメージを与えるため病状回復は一般に遅く、完全回復まで半年~1年ほどかかることもあります。

シガテラ毒を保有する魚(有毒魚)

シガテラ中毒は、食物連鎖によるシガテラ毒の生物濃縮が原因です。そのため、食物連鎖の上位に位置する大型の肉食魚が、シガテラ毒に汚染されている可能性がより高くなります。

シガテラ毒を保有している可能性が高い魚として、次の魚種が挙げられています。

オニカマス(カマス科)、ウツボ(ウツボ科)、アカマダラハタ(ハタ科)、バラハタ(ハタ科)、オオアオノメアラ(ハタ科)、バラフエダイ(フエダイ科)、イッテンフエダイ(フエダイ科)、サザナミハギ(ニザダイ科)、ギンガメアジ(アジ科)、ヒラマサ(アジ科)、カンパチ(アジ科)、イシガキダイ(イシダイ科)、ネムリブカ(メジロザメ科)ほか。

ただし、同一魚種でも地域差や個体差があって、ここに挙げた魚種のすべての個体にシガテラ毒があるわけではありません。同一海域で獲れた同一魚種でもシガテラ毒があるものとないものがあります。

シガテラ毒を保有する魚の画像(抜粋)

オニカマス


(画像提供:サイパンダイビング)

シガテラ毒を持つ魚のひとつで、別名は「毒かます」。
厚生労働省通知(昭和28年衛環発第20号)により、オニカマスは有毒魚として食用が禁止されています。

ドクウツボ


(画像提供:サイパンダイビング)

シガテラ毒を保有する魚類の中でも特に多量のシガテラ毒を保有すると言われています。
ほかにニセゴイシウツボなども毒化します。

バラハタ


(画像提供:クマノミ潜隊)

房総半島以南の岩礁やサンゴ礁にすむハタの仲間です。
全身が鮮やかな赤や朱色の地色に青白いスポット模様があります。ひれの先端が黄色で、尾びれの上下が長く伸びるのが特徴です。

アカマダラハタ


(画像提供:魚類図鑑)

全長が70~80cm程度になる大型のハタです。
アカマダラハタは刺し網などで獲られ食用にされますが、シガテラ毒を持っていることがあります。

サザナミハギ


(画像提供:おきなわ図鑑)

沖縄などの珊瑚礁およびその周辺に生息しています。
シガテラ毒のなかでも最強のマイトトキシンが、この魚の体内から見つかりました。

イシガキダイ


(画像提供:何か釣り隊)

イシダイ科の魚で、北海道を含めた日本全域の浅い岩礁域に生息。釣りの人気魚種で刺身などで食べられます。
沖縄で獲れたイシガキダイで、過去にシガテラ毒中毒を起こしたことがあります。

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