有毒植物の毒と生態
(画像で確認 猛毒を持つ危険植物一覧)

有毒植物の毒と生態~毒のある植物は日本には約200種があります。主な有毒植物の毒と生態画像を紹介します。有毒植物にご注意を!


猛毒をもつトリカブト類。画像はダイセツトリカブト/北海道
(画像提供:層雲峡.com)

自然界の植物の中には、食用になるもの、薬用になるものがある一方、毒をもつ植物もたくさんあります。毒性の強い有毒植物には、誤って食べると死に至るようなものもあります。

たとえばトリカブト類やシキミ、ジギタリス、フクジュソウなどです。

中でもトリカブト類は、古くは狩猟の毒矢に利用されたほどの猛毒があり、平地から高山に至るまで、日本中の広い範囲に自生しています。

トリカブト類の若葉が食用山菜のニリンソウの若葉とよく似ていることから、毎年のように食中毒事故が発生して死者もでています。

有毒植物

有毒植物の生態画像

日本には、有毒植物が身近なもので200種類くらいあるといわれています。ここでは、その中から代表的なものを画像で紹介します。

トリカブト(鳥兜)


(画像提供:山菜と野草)

世界一有名な毒草です。キンポウゲ科の多年草で、沖縄以外の全国に分布しています。8月から11月にかけて青紫色の「かぶと形」の花を咲かせます。

根・茎・葉を含めた全草が有毒です。
症状は、おう吐・下痢・手足や指の麻痺。重症の場合は死亡することがあります。

フクジュソウ(福寿草)


(画像提供:Wikipedia)

キンポウゲ科の多年草で、北海道から九州にかけての山地に自生。早春に黄金色の花を咲かせることから、縁起がよい花として正月に飾られます。
全草が有毒で、ごく少量でも中毒を引き起こします。特に根には毒が多く含まれています。新芽をフキノトウと間違えて誤食する事故があります。
症状は、おう吐、呼吸困難、心臓麻痺など。死亡することもあります。

シキミ(樒、櫁)


(画像提供:三島の四季)

シキミ科の常緑高木。山地に自生するほか、仏事に用いるため寺院や墓地に植えられていることが多い。葉は厚くつやがあり、春に淡黄白色の花を咲かせます。

全株が有毒ですが、特に実に猛毒があり、子供が遊びで誤って食べてしまうことがあります。
症状は、おう吐、下痢、めまい、けいれん、呼吸困難、血圧上昇など。重症の場合、死亡することもあります。

ジギタリス


(画像提供:帝京大学附属薬用植物園)

ヨーロッパ原産の多年草で、高さ1~1.5m。花は紫紅色の長い筒状で、下から順番に上に向かって開花します。庭で栽培されたり、野生化して里近くの荒地などに自生します。
葉が食用のコンフリーと酷似するため誤食することがあります。(※現在はコンフリーも食用禁止)
症状は、胃腸障害、おう吐、下痢、不整脈、頭痛、めまい。重症になると心臓機能が停止して死亡することがあります。

ハシリドコロ(走野老)


(画像提供:Wikipedia)

ナス科の高さ30~60cm程度の多年草で、山間の湿地や谷間、薄暗い林内などに自生。春に紅紫色の鐘形の花が下向きに咲きます。
全草が有毒。新芽をフキノトウやオオバギボウシなどの山菜と間違えて誤食することが多くあります。
食べると幻覚を起こし、苦しんで走り回ることからこの名前が付けられました。別名をキチガイイモ、キチガイナスビとも。恐ろしい名前です。

その他の有毒植物

有毒植物は他にもたくさんあります。身近な園芸植物や山野草にも毒があるものありますので注意しましょう。

園芸植物 スズラン、ドクダミ、キキョウ、スイセン、アサガオ、ソテツ、オシロイバナ、チョウセンアサガオ、タマスダレ、トウワタ、イヌサフラン、ジャガイモ(芽・緑化した表皮)、夕顔(かんぴょう)
山野草 ドクゼリ、ミヤマオダマキ、コマクサ、スイバ、マムシグサ、ミズバショウ、ノウルシ、バイケイソウ、オキナグサ、ヒガンバナ、ジロボウエンゴサク、ムラサキケマン、ヨウシュヤマゴボウ、イヌホオズキ、ザゼンソウ、キツネノボタン、ミゾカクシ、クサノオウ、キツネノカミソリ、ウマノアシガタ、トウダイグサ
高低木 アセビ、キョウチクトウ、エゴノキ、レンゲツツジ、シャクナゲ、ドクウツギ、アブラギリ、ネジキ、ニシキギ、サイカチ、エニシダ、テイカカズラ(つる植物)、センニンソウ(つる植物)、青梅、ギンナン(イチョウの実)

有毒植物の毒

<有毒植物の主な毒成分>
有毒植物の主な毒成分は、アルカロイドとステロイド(配糖体)です。

アルカロイド
窒素原子を含む塩基性有機化合物をアルカロイド(alkaloid)と総称する。動物に対して特有の生理作用を示す。そのほとんどが毒性や苦味を呈する。
生理作用としては、鎮痛・鎮静、麻酔、興奮、麻痺、幻覚などの神経作用があり、医薬品として重要なものが多い。

ステロイド(配糖体)
植物由来の数種のステロイド配糖体から得られるステロイド(steroid)は、Na+ーK+ポンプの強力な阻害剤である。心臓に強い効果を示すため強心ステロイドあるいは強心配糖体とよばれる。

アルカロイドの種類とアルカロイド含有植物

ニコチン タバコ
カフェイン 茶・コーヒー
コニイン ドクニンジン。コニインは昔、罪人の死刑に用いられた。
アコニチン トリカブト類。アコニチンはトリカブトから取れる猛毒として有名。
アトロピン チョウセンアサガオ・ハシリドコロ。鎮痛、麻酔薬として利用される。
モルヒネ ケシ。モルヒネは鎮痛、麻酔薬として利用される。習慣性があり麻薬としての側面も。
コカイン コカの葉。コカインも鎮痛、麻酔薬として利用される。習慣性がある。
レセルピン インド蛇木。鎮痛剤や高血圧の治療薬として利用。
キニーネ キナの皮。キニーネは解熱剤およびマラリアの特効薬。
エフェドリン 麻黄。エフェドリンは喘息の薬
ツボクラリン 南米産の豆科の大樹コンドデンドロントーメントスの樹皮からとれる矢毒(神経毒)。ニコチン性アセチルコリン受容体を阻害し、筋への信号伝達を遮断。筋肉にのみ作用し、筋弛緩を引き起こすため外科手術に利用。
ストリキニーネ マチン種子

ステロイド(配糖体)の種類とステロイド含有植物

ジギトキシン キツネノテブクロ(ジギタリス)由来。心筋の収縮力を高めるので、うっ血性心不全の治療に適した薬物となる。
ウワバイン キョウチクトウ科ストロファンツスは種子に多量のアルカロイドを含み、矢毒として用いられた。この植物に含まれる強心配糖体をウワバインという。ジギトキシンと同様の作用。強心利尿薬の原料。フクジュソウ、スズランなどにも強心配糖体が存在する。
サイカシン ソテツの有毒成分はアゾオキシ配糖体でサイカシンといい、神経障害を示す。
ソラニン ジャガイモの芽や緑色の皮などの毒成分で、三糖類をもつ配糖体である。神経伝達に働く酵素(アセチルコリンエステラーゼ)を阻害する。

※引用:生化学の基礎(生物毒)

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