世界一の毒ガエル/猛毒カエル 大研究
【カエル 毒 最強 】
世界一の猛毒ガエルは中南米の熱帯雨林に棲むヤドクガエルですが、日本にも毒をもったカエルがいます。ヒキガエルです。世界と日本の猛毒ガエルをまとめました。
ヤドクガエルの仲間。皮膚から猛毒を分泌する最強の両生類。
(画像提供:NATUREPHOTO)
中南米の熱帯雨林に棲むヤドクガエルの仲間は、赤・黄・緑・青など、どれも目を引く鮮やかな色合いをしています。しかしこれは警告色。「俺たちに手を出すと、ろくなことにならないぞ」と警告しているのです。
ヤドクガエルの仲間は、皮膚から猛毒を分泌する最強の両生類です。その毒性はきわめて強く、たとえば南米コロンビアに棲むモウドクフキヤガエルの毒は、世界の猛毒生物ランキングの堂々第4位にランクされています。最強の毒蛇といわれるインランドタイパン(同第10位)よりもはるかに強い毒性です。
コロンビアの先住民チョコ属は、この毒を「吹き矢」の先に塗り、「矢毒」として狩猟用に利用しました。この矢が刺さった動物は、ジャガーでもシカでも、一瞬のうちに体が麻痺して動けなくなるといいます。
毒をもったカエル(世界と日本)
世界一の猛毒カエル/ヤドクガエル
ヤドクガエルの仲間(ヤドクガエル科)には、9属200種以上のカエルが知られており、主に北米大陸南部から中南米にかけての熱帯雨林に生息しています。
ヤドクガエルは最大種でも6cm程度しかない小型のカエルですが、背中から強い毒液を分泌します。毒はアルカロイド系の神経毒で、猛毒のバトラコトキシンなど数種類の毒成分が含まれています。
とりわけバトラコトキシンを多く含むフキヤガエル属の3種=モウドクフキヤガエル、ココエフキヤガエル、アシグロフキヤガエルは毒性が強く、素手で触って傷口などから毒液が侵入すると命に係わる危険があります。
■極彩色でカラフルなヤドクガエルの仲間
写真上(左から):イチゴヤドクガエル、モウドクフキヤガエル、コバルトヤドクガエル/写真下(左から):アイゾメヤドクガエル、マダラヤドクガエル、ルグブリスフキヤガエル
日本の毒ガエル/ヒキガエル
日本にも毒をもったカエルがいます。ニホンヒキガエルです。
ヒキガエルは、体長が最大18cmにもなる大型のカエルで、わが国の固有種では最大のカエルです。別名でガマガエルあるいはイボガエルとも呼ばれます。
ヒキガエルは、後頭部の耳腺から強力な毒液を出すことで知られています。また、皮膚、特に背中にある多くのイボからも牛乳のような白い有毒の粘液を分泌します。これらの毒によって外敵から身を守り、同時に、有害な細菌や寄生虫を防いでいます。
■ニホンヒキガエル
(画像:南部町の生きもの図鑑)
ニホンヒキガエルには2つの亜種がいます。
西日本に主に生息する基亜種:ニホンヒキガエルと、東日本に主に生息する亜種:アズマヒキガエルです。
いずれも体型はほぼ同様で、違いといえば、鼓膜の大きさと目から鼓膜までの距離に若干の相違が見られる程度です。
■ヒキガエルの耳腺(毒の分泌腺)
ヒキガエルの頭部の拡大写真です。
青い矢線で示した部分が耳腺で、ここから毒液を出して捕食者から身を守ります。ちなみに、赤い矢線は耳の鼓膜です。
ヒキガエルの毒の主な成分はブフォトキシンなどの強心ステロイドです。人間が死ぬほどの強毒ではありませんが、神経系の毒で、麻痺や幻覚を引き起こします。目に入ると炎症を起こします。
犬や猫がヒキガエルを舐めたり、かじったりすると口の中が麻痺してしまうためよだれを垂らしたり、嘔吐したりします。 さらにヒキガエルを食べてしまうと、呼吸困難、麻痺、痙攣などを起こし時には死亡することがあります。
オオヒキガエル(外来種)
小笠原諸島や石垣島などには外来種のオオヒキガエルが生息しています。もともとの生息域は中米ですが、サトウキビの害虫駆除のために各地に導入したのが居着いてしまいました。
■オオヒキガエル(外来種)
(画像提供:wikipedia)
オオヒキガエルの毒性はヒキガエルとしては非常に強く、人に対しては目に入ると失明したり、大量に体内に摂取すると心臓麻痺することもあるほどです。
オーストラリアでは、オオヒキガエルを捕食したワニが大量に死亡し、固有種の淡水ワニ(オーストラリアワニ)が絶滅の危機に瀕しているとの報告もあります。
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