氷河モレーンが作る美しい縞模様

氷河モレーン

氷河モレーンが作る美しい縞模様。まるで天空のハイウエーのようです。
（画像提供：氷河のページ）

アメリカ合衆国アラスカ州とカナダ・ユーコン準州との境に位置するセント・エライアス地域。ここには、世界最大級の氷河が発達しています。

なかでも、アイスフィールド山脈に源を持つカスカウルシュ氷河は、カナダを代表する氷河のひとつで、モレーンが織りなす美しい縞模様で有名な氷河です。

氷河は、山中に降り積もった雪が圧縮され、氷の川となってゆっくりと流下するものです。

ひとつの谷から1本の氷河が流れ、それらが次々と合流して、やがて大きな氷河となって流下します。

その成長のドラマは美しく、圧巻でもあります。

◇出展：白岩孝行：氷河のページ

モレーンとは

モレーン（moraine、堆石）とは、氷河が谷を削りながら時間をかけて流れる時、削り取られた岩石･岩屑や土砂などが土手のように堆積した地形をいいます。

氷河は、削り取った土砂を川岸に押しやりながら流下するために、氷河の中央部は白い氷塊で覆われ、端部は黒灰色のモレーンで構成されるようになります。

氷河同士が合流すると、流れに沿って白と黒灰色の縞模様を作ります。この縞模様は支流が合流するたびに増えて、やがて幾条にも連なった美しい縞模様が形成されます。

氷河のモレーンは、まるでハイウエイの車線のように見えます。
氷河が織りなす壮大なランドスケープです。

氷河の風景～氷河あれこれ

■ハッバード氷河（アメリカ合衆国アラスカ州）

（画像提供：GANREF）

アラスカで最も活動的といわれる氷河です。幅約13kmにおよぶ氷河面が海に接しており、ときおり巨大な分厚い氷が落ちて、特大の水しぶきをあげます。
観光用のクルーズ船が出ており、海上から、迫力ある氷河の崩壊の様子が見物できます。

■モレノ氷河（アルゼンチン）

（画像提供：私のどこでも散策記録）

南米パタゴニア地方ロス・グラシアレス国立公園の氷河です。
氷河の先端は幅4kmにわたってアルゼンチン湖に接しており、轟音とともにセラック（氷塔）が崩落する様子は圧巻です。
セラックの高さは湖面から50mほどもあります。

■後退する氷河～ブリクスダール氷河（ノルウェー）

（画像提供：私のどこでも散策記録）

ノルウェーのブリクスダール氷河と、氷河の融けた水でできたブリクスダール湖。
地球の温暖化によって毎年融かされて、氷河の先端部(氷舌端)が後退しています。後退速度は毎年10mほどに達するという。　

■フランツジョセフ氷河（ニュージーランド）

（画像提供：KANAのゴールデンベイ生活）

ニュージーランド南島のウェストランド国立公園内にあるフランツジョセフ氷河。そこでの「氷河ウォーク」の様子です。
ガイドの案内で氷河を歩いたあとは、氷河湖？でチョッと水遊び・・・
寒いけど、いい思い出になりそうです。

■立山連峰「小窓雪渓」での氷河調査（日本）

（画像提供：北日本新聞社）

これまで日本には氷河は存在しないとされていましたが、最近の調査で氷河があることが判明しました。
2011年10月、立山連峰の雄山（3003m）東側斜面にある「御前沢（ごぜんざわ）雪渓」と、剱岳（2999m）近くの「三ノ窓雪渓」「小窓雪渓」にある三つの氷体が、日本雪氷学会によって国内初の「氷河」であると認定されました。